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『NEW SPACE ORDER』の世界
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ショートストーリー (1/8)
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FEDCON-5
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生身のまま宇宙を漂う。
それは、空よりもむしろ、海の中を泳ぎ回る感覚に近い。

星たちは魚。二千億もの光が織りなす、潮の流れ。
温かな虚空と、柔らかな闇。
次元粒子――ディアスタシオンのひと粒ひと粒が、波となって私の身体を駆け抜けていく。そんな気がした。

広い世界。ここに居るのは、私だけだ。
全身を虚無へとゆだねて、私はペルセウスの腕に抱かれる。
ありのままの宇宙。それはどこまでも透明で、同時に果てしなく純粋だった。

果てしない宇宙

オールトの雲で、生まれたばかりの彗星たちが笑っている。
そんな他愛もない光景すらも楽しみながら、私は星くずの世界を渡っていく。

まるで、自分自身がこの広大な宇宙と繋がっているかのようだった。
時折、思い出したように飛んでくるデブリを、私は目を瞑ったままでかわしていく。

おかしかった。今の私は、一瞬で、惑星の直径と比較できるほどの距離を進んでいる。
それなのに、時間の流れは緩やかにすら感じられた。

大統一力はもとより、魂の重みにすらも縛られない。
ああ、これが私の求めていたもの。
永遠の世界。
そこにあるのは、完全で無限な自由だった。


それから私は十分な満足感と共に地球を見上げ、微笑みを――?


(――――ッ!)

痛い――。痛い、いたい、痛いいたいイタイ!

唐突に、脳髄の奥が軋み始める。
これまでの身に過ぎた悦楽を罰するかの如く、今や痛覚だけと化した五感が私を貫く。
両腕で頭を抱えると、私は痛みに耐えようとして銀河の隅へとうずくまった。

なんということ。ここで終わってしまっては、全てが一からやり直しになると言うのに!

私は嘆く。だけど、もはや何もかもが手遅れだった。

私の目の前に広がる宇宙は、既に崩壊の様相を呈している。
恒星の形が崩れ、暗黒に青白い光が重なり始める。
目の前に幻影となって浮かび上がる、冷たく無機質なメッセージ。
惑星が、星系が、恒星団が、散り散りのノイズとなって霧散していく。
広大な宇宙が、ただひとつの点となって閉じていく――。

……仕方なく、私は諦めの溜め息を吐いた。
そしてようやく、目覚めるための準備を始める。
名残惜しくはあった。
だが、ここで私にできることなど、今ではもう何もないのだ。


目を閉ざす。

景色が消える。

私の意識が、この世界から溶けて無くなる。



――そうして私は、宇宙を泳ぐ星たちの夢の中から締め出された。


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