ジオキャリバー2概説
「ジオキャリバー2」とは「ソード・スタイル」を持つ第七世代型の戦闘航宙機である。そしてU.G.初の外宇宙運用を可能とした戦闘航宙機でもある。
ショートストーリーで語られているとおり、開発経緯は軍事帝國の攻勢(軍事帝國の「大転換」以降)に伴う、長射程かつ高速を誇る超光速実体弾砲への対抗策として打ち出された「アウトレンジアタック・リポート」を実現する航宙機として作られたものである。
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ゼネラルリソース社製ジオキャリバー2
S-114C(AT-GR) ジオキャリバー2GRアタッカー型 |
外宇宙航宙機の黎明期に作られた機体のため、ゼネラルリソース社・ニューコム社というU.G.2大企業の確執と、さらにその後の開発経緯にも多少の混乱があった結果、The New Space Order Warの中期~中期後半にかけてまで「ジオキャリバー2シリーズ」ともいえる多くの機種を生んだ。
なお、ジオキャリバー2のバリエーションといえるだけで下記の機種群が存在する。
- S-115A(PF-Nu) ジオキャリバー2パスファインダー型
- S-113D(AT-Nu) ジオキャリバー2アタッカー型
- S-113F(SC-Nu) ジオキャリバー2スキャナー型
- S-116B(PF-GR) ジオキャリバー2パスファインダー型(中期生産仕様)
- S-114C(AT-GR) ジオキャリバー2アタッカー型(中期生産仕様)
- S-114D(SC-GR) ジオキャリバー2スキャナー型(中期生産仕様)
- S-117C(AT-A1) ジオセイバーアタッカー型A1
- S-118B(AT-A2) ジオセイバーアタッカー型A2
- S-118A(SC) ジオセイバースキャナー型
今回の「メカニックス」では、ジオセイバーと一部のジオキャリバー2のバリエーション機を除いた、
- S-115A(PF-Nu) ジオキャリバー2パスファインダー型
- S-113D(AT-Nu) ジオキャリバー2アタッカー型
- S-116B(PF-GR) ジオキャリバー2パスファインダー型(中期生産仕様)
- S-114C(AT-GR) ジオキャリバー2アタッカー型(中期生産仕様)
の4機種を中心に紹介していく。
ジオキャリバー2開発経緯
「アウトレンジアタック・リポート」を成立させる上で欠かせないハードウェアすなわち航宙機は、当初ニューコム社によって作られた。
LoLでユウたちオメガ隊で使われていた「ジオキャリバー2」は、正しくは「ジオキャリバー2GR(中期生産仕様)」であり、その設計元はゼネラルリソース社であった。
「ジオキャリバー2Nu」の開発経緯
本項ではまず、最初に設計されたニューコム社製の「ジオキャリバー2Nu」とその開発経緯について説明する。
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ニューコム社製ジオキャリバー2
S-113D(AT-Nu) ジオキャリバー2Nuアタッカー型 |
ジオキャリバー2の最初の開発元であるニューコム社は、古くは独自の開発哲学に基づいた航空機の開発を行っていた。
が、その設計思想は独自性が強過ぎ、既存ハードウェアの継承を怠ったため制式機としての採用は非常に少なかった。その結果、宇宙開発時代に入ったころには軍からの発注は途絶え、細々と社内実験機を作る程度の規模にまで落ち込んでいた。
だがその一方で、アビオニクス分野では航空機時代から用いられていた「コフィン・システム」を独自進化させ、宇宙開発時代には、脳波・神経伝達信号等の生体発信信号を操縦に用いる「N.B.B.(ナビゲート・バイ・バイオシグナル)方式」を確立。元々のシステム発案者であったゼネラルリソース社を凌駕するに至った。
最終的に、The New Space Order War開戦時にはSAT(スペシャル・アタック・チームの略 U.G.S.F.総軍特殊部隊)で使われる特殊作戦機「IS型ドラグーン」シリーズを除く標準型航宙機をゼネラルリソース社が、アビオニクスをニューコム社が担当する体制が出来上がっていたのである。
本題に戻ると、「アウトレンジアタック・リポート」を実現させるには、航宙機本体よりもむしろアビオニクスや運用が問題であった。それを解決したのがニューコム社であった(ショートストーリー参照)という事実と、さらにニューコム社が航宙機部門への復権を強く望み、中央司令部、連邦政府、連邦議会へと一大ロビー活動を展開したことで、とうとう「アウトレンジアタック・リポート」の優先開発権はニューコム社に付与されたのである
「優先開発権」とは、設計権、仕様決定権、生産指示権の優先3権で構成されている権限である。
要はある目的を持ったリポート
(※U.G.の軍事方針書のこと)を実現する際の実質的決定権者となれる性質をもっている権限であった。
「アウトレンジアタック・リポート」の優先開発権が付与されたということは新型航宙機の開発許可と同義であり、ニューコム社はこの権利を盾にゼネラルリソース社を下請け製作会社として使役することが可能となったのである。
この新型航宙機開発に際して、早速ニューコム社からゼネラルリソース社に以下の仕様で構成された設計が発注された。
- 推進は、D/D推進方式(D-hole Reactor/DFD Propulsion method)を採用すること。
- 統合アビオニクスは、ニューコム社製N.B.B.型コフィン・システム「Neucom DSCIS-0754GFE」を搭載すること。
※通称イラティ・システム この経緯についてはショートストーリー参照。
- 機種は、パスファインダー型(PF)とアタッカー型(AT)の2つを展開すること。(後にスキャナー型SCが仕様追加)
- 攻撃兵器は、対航宙機兵器・対艦兵器が砲身の変更なく弾種交換のみで使えること。
- 4とは別にQ兵器(マイクロクェーサー使用の超高威力兵器)運用、発射が行えること。
この仕様中、ゼネラルリソース社からは特に1のD/D推進方式仕様への反発が非常に強かった。
もともと、D/D推進方式は戦艦や護衛艦といった巨大な物体を動かすための推進方式で、他の推進機関と大きく異なる特徴をもっていた。すなわち「理論上の高出力・半永久推進機関」という特徴である。
このD/D推進方式の動作原理は、簡単に言うとD-hole Reactor、すなわち次元断崖光化反応炉の中に開かれた「孔」を通じて他の次元からエネルギーを調達し、それをDFD Propulsion、すなわちディアスタシオン・フィールド・ドライブ(DFD)で推進力に変換して使うという点にある。
この際、次元断崖光化反応を継続させるには「孔の維持」が要となるが、発生エネルギーの99.89146%を孔の維持に当てつつ、残る0.1%強のエネルギーを利用するわけである。
エネルギー変換率0.11%と僅少な数字ながらも、そのエネルギー量は膨大であり、凄まじい高出力機関であるが、一方で「孔の維持」は調整がシビアで、維持エネルギーが多すぎると孔が開きすぎてエネルギー暴走の後、反応炉破壊。また逆に少なすぎると孔が閉塞して反応停止、という両極端な反応炉でもあった。
さらにDFDで推進力場エネルギーへと変換する際も、一定量のエネルギーを投入しないとDFD力場が生じない、という特性をもっていた。
したがって、この2つをあわせたD/D推進方式は出力調整幅が狭く、全開域にわずかな範囲しかないというピーキーな推進機関となっている。
また、DFDの推進力は、力場を発生させるプロパルジョン・フィン(推進力を発生させる多層フィン型ノズル)の面積で決定される。
※DFDの特徴である「理論上の高出力」というのは、あくまでもプロパルジョン・フィンの面積を大きく取れた場合だけに当てはまる話である。
艦艇のようにプロパルジョン・フィンの面積を大きく取れるならば、フォトン・ドライブ(PD)ほどではないにしても充分にDFDの恩恵は受けられた。しかし航宙機の場合では推進フィン(プロパルジョン・フィン)の面積が広く取れないことから加速力が低かった。
つまり、D/D推進方式を使うことによって補給は必要なくなるが、加速後の調整域は狭くなってしまう、一度減速してしまうと加速が難しい、という持病を抱えることとなった。
これは言い換えれば、カタパルト射出後もジェットコースターのように常に最高速状態を維持しなければならず、一撃離脱は得意とするがドッグファイトのような低速高機動戦を行えない航宙機になるということであった。
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DFD 青色発光しているのがプロパルジョン・フィン
DFDのみを推進源とする航宙機はこれが初となった |
ゼネラルリソース社は、豊かな航宙機の製作経験からドッグファイトの出来ない航宙機の不要を説き、発注元であるニューコム社にD/D推進方式仕様の修正を強く求めた。
が、ニューコム社が新型航宙機に求めた性能は「アウトレンジアタック・リポート」をベースとしており、敵砲弾の届かない長距離から迅速果敢に敵中に突入、強力な一撃で敵艦を撃沈、追撃を振り切り帰還する「一撃必殺対艦攻撃機」であったことから頑として主張を曲げることは無く、両者の主張は平行の一途をたどった。
最終的に、議論のみで進まぬ開発に業を煮やしたニューコム社が、優先3権のひとつ「仕様決定権」を発動させたため、ゼネラルリソース社は折れ、文字通り「職人的対応(※この際、ゼネラルリソース社ではトップダウンでニューコム社への協力を指示されている)」によって、航宙機用D/D推進方式エンジンの開発と、それを搭載した3種類の新型航宙機を完成させた。
これが最初の「ジオキャリバー2」となる「ジオキャリバー2Nu」すなわちS-115A(PF-Nu)、S-113D(AT-Nu)、S-113F(SC-Nu)である。
※タイプ名の後の「Nu」は、ニューコム社(Neucom.inc.)の二文字略号である。
また、この機体登場後、運用艦としてゼネラルリソース社設計のイーグレット級航宙機母艦
(メカニックス「航宙機母艦I型」参照)が就役している。
「ジオキャリバー2Nu」の戦果
かくして、ゼネラルリソース社の風下に立つこと数百年、ついにニューコム社は航宙機で復権を果たすことに成功した。
が、その結果はどうであったかというと、外宇宙戦闘用アビオニクス「イラティ・システム」以外、あまり芳しい結果を残すことは出来なかった。
ジオキャリバー2Nuの初陣は「オペレーション・ホーネット(第一次シリウス宙域防衛戦)」である。このオペレーションで軍事帝國に対し、初のアウトレンジアタックを敢行している。結果は圧勝であったが、この理由は、この時点では軍事帝國もアウトレンジアタックに対して無知であったからである。
つづく「オペレーション・バタフライ(第二次シリウス宙域防衛戦)」から「オペレーション・ドラゴンフライ(第三次シリウス宙域防衛戦)」のあたりから、ジオキャリバー2への対抗策として軍事帝國「航空戦列艦(U.G.コードネーム:フデバコ)」と「ゲイレルル(U.G.コードネーム:トンボ)」が出現すると、ゼネラルリソース社が懸念したとおり、ドッグファイトで徐々に押されはじめるようになった。
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軍事帝國 航宙戦闘爆撃機ゲイレルル |
軍事帝国 航空戦列艦 |
そして「オペレーション・ファイアフライ(第四次シリウス宙域防衛戦)」の頃には、駆逐艦(U.G.コードネーム:クロウ)の改修型である「防空艦(U.G.コードネーム:ヘッジホッグ)」の出現によって、速度と航続距離に勝るが回避機動の弱いジオキャリバー2Nuは、とうとう一部のE.S.P.パイロットを除きほとんどが撃墜されてしまう事態へと陥ったのである。
「ジオキャリバー2」の設計改修と「ジオキャリバー2GR(中期生産仕様)」の出現
ここにおいて、ニューコム社のロビー活動によって買収された連邦政府、連邦議会、そしてU.G.S.F.さえも、手のひらを返したようにニューコム社の責任を追及し始めた。最終的にはライバル社であるゼネラルリソース社にジオキャリバー2の設計改修を指示する事態にまで進展した。
かくして再びニューコム社とゼネラルリソース社の立場が逆転したのである。
この指示に対するゼネラルリソース社の回答ともいうべき機体はまさしく「いいとこ取り」であった。
すなわち、短期間で効率良い機体の設計改修とイラティ・システムの流用を可能にすることを優先した。そのために既存ニューコム社アビオニクスを使用していて、かつパイロットの使用実績が高い機体を流用することで解決を図ろうとしたのである。
この対応は迅速で、まずAT型が用意された。
白羽の矢が当たったのは、スペースベース等で運用されていたゼネラルリソース社製ソード・スタイル式内宇宙迎撃航宙機「ジオキャリバー(S-108N)」であった。
これをベースに、アビオニクスはイラティ・システムに換装、反応炉は通常反応機関「抑制型対消滅反応炉(SPA-reactor)」をそのまま設計拡大し、反応容量のみを増加させて使用した。
さらにPDのみであった推進器は、ゼネラルリソース社開発陣の努力により、そのサイズを全く変えることなく、ノズル内にPDとDFDを組み込んだ「ハイブリッド・DFD(Hb-DFD)」を極短期間で開発に成功し、これに換装された。追加機器の問題から対艦攻撃兵装であるQ兵器の搭載が不可能となってしまったが、これは荷電粒子砲の出力と連射速度を上げることで代替とした。
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ジオキャリバー2GRのHb-DFD
Hb-DFDはDFDの奥にPDを持つハイブリッド・エンジンである
そのためジオキャリバー2Nuよりもノズル発光が強い |
かような大改修にもかかわらず、ジオキャリバーの外形を一切変えることなく中身の換装にとどまったため、既存の生産ラインがそのまま使え、即時量産できる形となっていた。
PF型は、機体の構成はニューコム社製のジオキャリバー2Nu(PF)のそれにならったため、AT型とは作り方が異なっている。改修点はPF型の項で詳述するが、海棲哺乳類用に機体を改修、ガード・フレーム装備、トラクター機能強化、センサーユニット強化、MQD(マイクロクェーサー・ドライブ)装備と、広汎かつ多岐にわたった。諸般の事情で外観はジオキャリバーに似せてあるが、中身は全くの新造機体であった。
これがLoLに登場し、ユウやリックの乗った機体「ジオキャリバー2GR(中期生産仕様)」すなわちS-116B(PF-GR)、S-114C(AT-GR)である。
※タイプ名の後の「GR」は、ゼネラルリソース社(General Resource L.T.D.)の二文字略号である。
ゼネラルリソース社の陰謀
なお後年の分析では、これら一連のジオキャリバー2開発騒動は、ゼネラルリソース社の陰謀とする説が強い。
ゼネラルリソース社はアウトレンジアタック・リポートの実現手段として絶対的にE.S.P.が欠かせないことは理解していたが、ニューコム社よりもE.S.P.開発が遅れているという事実があった。そのため、この解決法(イラティ・システムのことである)をニューコム社が開発し、それを搭載したジオキャリバー2Nuが制式採用されるのを待ってから、そのシステムに換装したジオキャリバー2GRを制式採用させるという構図があったのではないかと言われている。
多くのジャーナリズムは以下7点の状況推測から、この疑惑が証明されるとしている。
- 航宙機部門は、有事でも平時でも一定の消費が望め、これをゼネラルリソース社が手放すとは考えにくい点。
- E.S.P.開発はニューコム社の方が優っており、それをゼネラルリソース社自身も理解していた点。
- ジオキャリバー2Nu試作機「ジオソードα2」とのシミュレーション戦にゼネラルリソース社が用意した「ドラグーンG5DSβ(ショートストーリー参照)」の原型機「ドラグーンG」は、本来は専用の運用艦が必要な特殊作戦航宙艇であり、ドラグーンG5DSβもリポートの要点である「航宙機母艦運用・量産性」を考慮していないことから、故意に不採用を狙った疑惑が晴れない点。
- D/D推進方式(D-hole Reactor/DFD Propulsion method)が航宙機向きでない事実にゼネラルリソース社は当初は反論していたが、後にゼネラルリソース社内のトップダウンによって、支援する方針に変更している点。
- ニューコム社のロビー活動に対し、対抗ロビー活動をゼネラルリソース社は行っていなかった点。
- 極短期間でジオキャリバー2Nuの代替機をゼネラルリソース社が投入してきた点。
- 3と同様、ジオキャリバー2GRの運用航宙機母艦マーリン級を完成とほぼ同次期に投入している点。
もちろん当のゼネラルリソース社は、この疑惑を否定している。
両社ジオキャリバー2の違い
ゼネラルリソース社とニューコム社のそれぞれのジオキャリバー2は、同じ名称だが特性や性能が大きく異なっている。
ジオキャリバー2GRの特性
ジオキャリバー2GRは、Hb-DFDと呼ばれるフォトン・ドライブ(PD)と、ディアスタシオン・フィールド・ドライブ(DFD)の2種を組みわせたハイブリッドエンジンを使用している。これは、加速時や高機動戦時の再加速性能に優れるPD、巡航時の高速性能に優れるDFDと用途別で切り替えられるという特徴を持っている。
特に低速高機動戦闘となる対航宙機戦では、PDと4門の高速連射型の荷電粒子砲の組み合わせが最大の威力を発揮した。
また原型機であるジオキャリバーは、内宇宙専用とはいえ本機以前の制式採用機であったため、この機体に慣れたパイロットが多かった。そのことから派生機であるジオキャリバー2GRは、機種転換が容易で扱いやすいという利点があった。
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ジオキャリバー2GR |
主兵装である4門の高速連射型荷電粒子砲 |
しかし一方で欠点もあった。
高機動を保障するPDは、その推進源である光子を得るために抑制型対消滅反応炉を使わざるを得ず、これが反物質を必要としたため、定期的に補給が欠かせなかったという点である。
また対艦兵器であるQ兵器が搭載できないジオキャリバー2GRは、対艦戦では敵艦のシールド有効範囲内に肉迫攻撃するという荒業が要求された。(LoLでユウがよくやる戦法でもある)特にDサーフェスのシールドは、突入速度が速いほど強固になる特性(乗数反発力)を持つため、減速してDサーフェスの反発力を低減させて突入するか、シールド未展開の所に回り込んで進入するという方法を取らざるを得なく、この際に撃墜されることが多かった。
ジオキャリバー2Nuの特性
一方のジオキャリバー2Nuの推進は、DFDであるため反応炉の定期交換以外、エネルギーの補給が不要であった。
PDと比較してDFDは最高速で遥かに勝るという利点があり、特にDFDの最高速状態は艦艇の最大戦闘速度すらも上回るため捕捉が非常に困難であった。
(※なお艦艇の速度は、巡航速度>戦闘速度である。戦闘速度が低いのは武器命中率向上と、ENDシールドにエネルギーが回されるため速度を落とさざるを得ないためである)
また武装は、威力で連射型より上回る照射型荷電粒子砲を二門、そしてジオキャリバー2の中では唯一運用可能な対艦兵器Q兵器によって、大型艦艇への打撃力は尋常ならざるものがあった。
この最高速を得意とするDFDと遠距離からのQ兵器投射で行われる高速対艦攻撃法は、かたや減速肉迫攻撃を強いられるジオキャリバー2GRとは比肩しがたいほどの能力を持っていた。
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ジオキャリバー2Nu |
主兵装である2門の照射型荷電粒子砲
この砲門はQ兵器の投射機も兼用する |
だが一方でDFDは再加速力に劣り、それは特にストップ・ゴーといった機動性に直結する性能に影響した。そのため艦隊直掩・近距離防衛戦・ドッグファイトといった高機動戦ともなると、その最高速性能はほとんど生かされることなく、しばしばもてあまされた。二門の照射型荷電粒子砲も威力は優れているが速射性に乏しく、対艦&対航宙機戦を両立させるためには、E.S.P.保持者をパイロットにして、先行予測による目標の先読みや、少しでも再加速を減らす機動を取るようにするなど、パイロットを選ぶ機体となったのである。
また、この2種のジオキャリバー2の存在によって、反物質保存槽とその補給機構を持つゼネラルリソース社製ジオキャリバー2運用艦級群(マーリン級・ケストレル級)と、Q兵器保存槽とその補給機構を持つニューコム社製ジオキャリバー2運用艦級群(イーグレット級・シュライク級)に分かれざるを得なかったのである。
※反物質・Q兵器双方ともに扱いが難しく、専用の設備が必要となる。
ただ、この多種展開の弊害があっても、2機種は次期制式航宙機ジオセイバーの採用後も並立して存続した。
ジオキャリバー2GRは艦隊直掩重視のオペレーションやミッションで活躍し、ジオキャリバー2Nuは対艦攻撃重視のオペレーションやミッションで活躍し続け、互いの領分を荒らすことが無かったからである。
当初は2種の「ジオキャリバー2」が並存することで呼称の混乱が見られたが、最終的にジオキャリバー2GRは、原型機の名前をそのまま使われて「ジオキャリバー」、ジオキャリバー2Nuは、そのまま「ジオキャリバー2」と呼ばれた。
ジオキャリバー2(PF) 概要
ジオキャリバー2(PF)とは、アウトレンジアタック時に編隊全機をトラクタービームで牽引し、戦闘時には宙域分析センター機能、母艦と編隊間のデータリンクハブ機能、行動不能機の回収を行う機能を有する先導機のことである。
また、戦闘時には安全宙域で戦況を観察し、攻撃目標の撃沈を確認するか既定の被撃墜数に達した場合、全編隊を強制的にトラクタービームで牽引し母艦へと撤収する帰還機としての機能も持つ。
一般的にPF型、パスファインダー型、パスファインダー機、先導機などと呼ばれる。
なお本機はAT型と異なり武装は持たない。戦闘に従事しないことから冷静な戦況判断が下しやすいため、この機体の搭乗者が編隊長となることが多い。
AT型がゼネラルリソース社製・ニューコム社製の2種があるように、PF型にも同様に2種ある。
ここでは、LoLでリックが搭乗したゼネラルリソース社製のS-116B(PF-GR) ジオキャリバー2GRパスファインダー型(中期生産仕様)にのみ焦点を当てる。
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ゼネラルリソース社製ジオキャリバー2
S-116B(PF-GR) ジオキャリバー2GRパスファインダー型(中期生産仕様) |
ジオキャリバー2GR(PF)の特徴
PF型だけの特徴として、強力な探査解析機材、司令部との超長距離データ通信が可能なDILSとこれを利用した編隊ハブ機能、牽引用の大型トラクタービーム・ユニット、大型ENDシールド・ジェネレータ、AT型よりも大推力のHb-DFD、緊急加速用のマイクロ・クェーサー・ドライブ(MQD)、緊急帰還用のワープドライブ(WD)がある。
両社製ともにPF型のパイロットは人類ではなく、ニューコム社製M兵器第II類(水棲哺乳類系パイロット)を充てているのが特徴である。パイロットが巨躯で、かつPF型専用の解析アビオニクスの搭載量もかなりの量に上るため、コクピット・ユニットであるO.R.B.S.は専用の大容量型が用意されている。これにあわせて「ブレード・フレーム(中央の機体部のこと)」が多少前後方向にストレッチされている。
さらにブレード・フレーム外側に、ENDシールド、トラクタービーム・ユニット、MQD、空間レーダーユニットをマウントした「ガード・フレーム」を装備して機能を大きく拡張している。
※ENDシールドを搭載する点から「ガード(防御)・フレーム」となるが、ダブルミーニング的に「ブレード(=刀身)・フレーム」に対する「ガード(=鍔)・フレーム」もあると思われる。
当初の設計では容積比でAT型の2倍程度を予定していたが、最終的に3倍にも達している。
またこれら機材運用に大半のエネルギーが使用されてしまうのと、パイロットであるM兵器第II類が非戦闘的性格のため、荷電粒子砲他、武装の類は一切搭載されていない。
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ブレード・フレーム部
青色部分はAT型と同じ外装を使用している |
ガード・フレーム部
赤色部分がガード・フレームの基部に当たる
このフレーム上にリーフレーダー・ユニット(黄色部分)
トラクタビーム・ユニット(緑色部分)が搭載される |
外観上の特徴として、ブレード・フレーム部にAT型の片鱗が見えるが、これはゼネラルリソース社の「急遽改造で時間が不足したためAT型をベースに作った」という理由のために体裁が整えられただけで、実は中身は別の機体となっている。(中身は開発中のジオセイバーを流用している)
PF型の牽引機能
PF型は、独自機能として強力な牽引機能を持つ。
これは、アウトレンジアタックが「敵に捕捉されない超長距離を遠征後に攻撃をおこなう」という戦法だからである。外宇宙という広大な戦闘領域でAT型だけで移動すると、機器的消耗のみならずパイロットの体力的、精神的消耗が非常に大きい。この負担をPF型が牽引することで肩代わりしているわけである。
またこの牽引機能は、母艦より遠く離れた戦闘宙域で行動不能になった機体や、脱出後のO.R.B.S.コクピットの回収・牽引にも使われ、生残率低下やこれにともなう戦闘稼動回数の著しい低下を防ぐことにも役立っている。
外観的特長でもある期待を取り巻くガード・フレーム上には「トラクタービーム・ユニット」と呼ばれる牽引ユニットが搭載されており、ここにトラクターアーム2基にトラクターピボット1基と、あわせて3基の牽引ポイント、さらにこれが左右で計6つの牽引ポイントを持つことで小隊所属のAT型6機を牽引可能となっている。
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トラクタービーム・ユニット
写真中央の三叉状のものがそれである
上下ブランチ部がトラクターアーム
中央部はトラクターピボットと呼ばれる |
PF型は、AT型の倍の出力を持つPF型専用の抑制型対消滅反応炉(SPA-reactor)を持つ。武器も搭載していないことから出力は推進と牽引に優先的に回せるため牽引限界が非常に高い。
後述のキャリバーシース(ジオキャリバー2用拡張アタッチメント)装着後のジオキャリバー2を同時6機牽引はもちろんのこと、実用には遠く及ばないが護衛艦1隻を牽引することすら可能である。(AT型ではシース無しのAT型1機が牽引限界)
牽引方式は、6点の牽引ポイントにジオキャリバー2を1機づつ牽引するパラレル式のほか、6機のジオキャリバー2をすべて後部トラクターピボットから直列で繋げるデイジーチェーン式の2種類の選択が可能となっている。
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パラレル式牽引 赤:PF型 青:AT型である |
デイジーチェーン式牽引 実際にはもっと距離をあけて牽引する |
仕様説明上は、パラレル式は「ワープドライブ時や戦闘開始直前といった加速時に使用する」、デイジーチェーン式は「通常空間での巡航中や未踏破宙域等の移動の際、デブリ衝突確率を落とすために使用する」と、主に巡航時使用を想定されていたが、実際の運用では戦闘時にもこれら接続法を応用してさまざまな戦法が編み出された。
PF型の探査・分析機能
この機体の役割の1つに、先述の通り戦況分析がある。
The New Space Order Warでの航宙機戦は、機器によるデータ収集と予測分析を第一に、パイロットがその予測データから判断して戦闘行動に移している。PF型が担当しているのは、この「機器によるデータ収集と予測分析」の部分である。
これらデータの収集は、大きく拡張された機首センサーヘッド部、ガード・フレーム部にある4枚のリーフ・レーダ-に搭載されている広範囲三次元走査タキオンレーダー、重力レーダー、次元粒子密度感知センサー、ターゲットイメージ認識用光学センサー等によって行われている。
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機首マルチセンサー・ブロック |
リーフ・レーダー |
これをPF型のパイロットの先行予測と、PF型専用のN.B.B.型コフィン・システム「Neucom DSCIS-0809GPX」に搭載されている統合戦況分析システム「Neucom Analzer-PAS」によって解析し、予測分析データを各AT型に送信しているわけである。
また、外観上の特徴であるリーフ・レーダーは他の航宙機にはない装備で、上述の戦況分析以外でも使用される重要なレーダーである。
特にアウトレンジアタックでは、牽引移動時の大半が無観測宙域・未踏破宙域であることが多く、これを展開して高速巡航状態のまま前方宙域の分析を行っている。
かなりの分解能と探索距離を持ち、光速の1/3という航宙機の巡航速度でも、ENDシールドの防御キャパシティを超える危険性の高い障害物を早期発見し、回避の必要性があるかどうかを分析することが可能である。
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前方俯瞰図
リーフレーダーを最大展開している状態 |
正面図
リーフレーダーを広展開するほど情報収集レベルが向上する |
後方俯瞰図
未踏破宙域ではこの状態で高速巡航する |
PF型の推進器
PF型の推進器は、上述の通りフルスペックのAT型6機を牽引・加速させるためAT型のそれよりも大出力・大推力に主眼をおいた構成となっている。これにより加速力にかけては他の航宙機の追随を許さぬほどの出力を得ている。
こう言うと、一見してわかる上下1対の大型Hb-DFDがその役割の大半を担っているように聞こえるが、この推進器はもっぱら定常高速域を担保するだけで、実はそれほど重要ではない。
実際にPF型の強烈な加速・牽引力を保障しているのは、ガード・フレーム上下に搭載されている補助推進器MQDである
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PF型 推進器周辺
中央の上下一対となっている青色発光しているのが大型Hb-DFD
DFDのさらに上下端にある噴射口らしきものがMQD |
本機関の原型となったG.A.I.A.(Galaxy Absolute defense-line Interception Armament 銀河絶対防衛線阻止迎撃兵器 代表的なものは、オペレーション・スターラスター時の高性能小型航宙機)の持つクェーサー・ドライブ(QD)は、推進エネルギー源に人造クェーサーを使っている。
QDは、この時代の人類がもつエネルギーとしては瞬間最大出力で最強である反面、人造クェーサーは非常に不安定で、これを消失させないよう細かく制御して維持するのは高価かつ複雑な補機を必要とする。
またよしんば維持し続けることに成功しても、際限なく高出力のエネルギーを噴射しつづけるためDFDとは別の理由で推力の可変制御が難しい。そして出力源がクェーサーである点、すなわち3次元上で発生顕現する噴射エネルギーである以上光速を超えられない。といった欠点を抱えていた。
こういった扱いにくさから、QDを使用するにはG.A.I.A.のようなワンオフ機ならまだしも、戦争で消費される量産機には高コスト過ぎておよそ不向きであった。
この不安定を逆手に取ったのがMQDである。
QDのようにジェネレーター内で発生後の人造クェーサーを維持し続けるのではなく、マイクロ・クェーサー・ジェネレーター(MQジェネレーター)から超極小化したマイクロ・クェーサー(MQ)を発生→エネルギー放出後消失→消失後再度MQ発生、というプロセスを間欠的に連続発生させることで出力としている。
出力停止も極小MQの発生を停止するだけで良く、出力調整もMQの発生間隔の調整だけで限定的ながら可能としており、安価かつ簡単な機構で自発点火・再点火・限定的ながら出力調整が可能な高出力機関とすることに成功している。
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MQDの拡大図 奥のは噴射口ではなくMQジェネレーター
それ以後の壁に囲まれた区画でMQを発生させ、その反動で進む
露出機関のため、構造は簡易だが戦闘による破損も多かった
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こうまでして安定化・実用化を図ったMQDだが、しかし完全無欠な機関とは言いがたかった。
無制御のMQを発生させている、ということは文字通り「超極小化されている」の1点だけが安定動作の保証である。もし極小化プロセスを制御するMQジェネレーター部に故障や破損が生じた場合、それこそ無制御がゆえに周囲を巻き込んでの爆発を起こしかねない。
人造とはいえクェーサーという宇宙創生エネルギーに近いものを使う上で、結局リスクはそれなりにあったことから、MQDは推進機関でありながら「Q兵器」に分類されており、定義上は補助推進器扱いとして使用を制限されていた。
LoLでは八話でリックがユウを救出する際にユウが気絶するシーンがある。
MQDが発生させる瞬間最大出力は、規模を縮小したといっても強烈極まり、全開加速時にコクピットGダンパーのダンピング限界を超えた時は、最悪パイロットが原型をとどめないほどの圧死となってしまう可能性が高い。そのため使用には編隊長もしくはそれ以上の階級の許可が必要となっている。(八話ではマイヤーの許可があったので使用している)
航宙機母艦では、格納庫被弾時やMQD暴走時に誘爆を避けるため、AT型が収められるA格納庫(左舷格納庫)・B格納庫(右舷格納庫)とは別のC格納庫(中央ブロック下部格納庫)にPF型を収めている。当然、緊急時にはパージできるようになっている。
逆に、MQDを主機関として無制限に使えるのがアウトレンジアタック時である。
アウトレンジアタック時は、6機のAT型を牽引しながら、長大な距離を一気に飛びきる速度が要求された。
そのため射出時点から初速をつけるべく、PF型のMQDと「スーパーラウンチ・フォーム」状態での航宙機母艦のカタパルトを使用して射出する「クェーサー・ドライブ・ブースト・カタパルト(QDBカタパルト)」で、強烈な加速をつけて射出した。
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スーパーラウンチ・フォームへと変形した航宙機母艦
両舷アウトリガー・カタパルト・アームから発する強力な力場を発生させ
文字通り「航宙機母艦全体をカタパルトとして使用する」カタパルトである |
加速終了後は戦闘宙域までHb-DFDで高速巡航するが、突入時にはMQDを再点火して高速突入、作戦終了時の撤退にもMQDで高速戦場離脱、と作戦の成否を握る場所では必ず使用されていた。
PF型のその他の機能
PF型のその他の機能としてはWDを搭載している。これは短距離限定ながら牽引しているAT型ごとワープを可能とする
ワープの跳躍可能質量はAT型で6機まで、その際、AT型全機のキャリバーシースは投棄済みであることは条件である。かつ回数も2回までとなっている。MQDと同様こちらも完全な緊急用の補助機関である。
ワープは一見便利なようだが、そのプリプロセスとして跳躍先の空間解析(跳躍先の空間に障害物が無いことを確認)、WDを事前に回しておく(プリワープ・アイドリング)という2つの動作が必要である。また、このプリプロセス中は「フォールディング・フォーム」への変形が必要となる。
※プリワープ・アイドリングのためであるが、ワープイン・アウト時に発生する空間衝撃波「ジャンピング・ショックウェーブ」に対応するためでもある。
この間、ENDシールド・DFD・各種探査補機類も使用不可能となる。こういった特性から敵突入時等には使いにくく、また戦闘離脱時にも周囲の戦闘レベルが低くなってから使用されることが多かった。
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前方俯瞰図
フォールディング・フォームは航宙機母艦に格納される際にも使う |
正面図
前面から見ると左右ガード・フレームを内側に格納しているのがわかる |
後方俯瞰図
ジャンピング・ショックウェーブに対応するため補機類は全部格納する |
それでも戦闘破損の多いMQDよりも確実性のある離脱手段であり、プリプロセスのリスクを負ってWDを使うか、暴走リスクを負ってMQDを使うかは、パイロットであるM兵器第II類(つまりイルカ)の中でも意見の分かれるところであった。
なお、LoLに登場したリックはMQD派で、オペレーション・ホワイトストリームだけでなく、この後のオペレーションでも好んで使用していた。
また、もう一つの機能として、航宙機にしては強力なENDシールド・ジェネレータを有する点も挙げられる。
PF型は、WDやMQDといった緊急帰還機能をもつため編隊の生命線でもある。よってPF型はAT型と比べると推進系のみならず防御にも力が注がれている。
シールドレイヤー数はAT型の4レイヤーに対し、倍以上となる10レイヤーを持っている。さらに展開面積・展開角も広く、編隊丸ごとを防護できるサイズを誇る。
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ENDシールド・ジェネレータ
画像中央の青く発光する帯状のものがジェネレータである
航宙機でこれだけのサイズのジェネレータを積むことは珍しい
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キャリバーシース 概要
ニューコム社、ゼネラルリソース社の両社間の確執の結果生まれたジオキャリバー2GRは、前述の通りPF型はともかくAT型は急造の感が否めない機体であり、特に航続距離の延伸によるエンジンの変更、エネルギー源である反物質の保存槽の増設によって、原型機であるジオキャリバーが本来持っていたマルチロール機能を大きく損なう結果となった。
このため次期航宙機ジオセイバー(外宇宙用中型多目的戦闘航宙機ジオキャリバー2改 ジオセイバーは通称)の開発が検討されたが、開発と配備には時間がかかることが予想されたため、中継ぎとして失ったマルチロール機能を外装オプションとして復活させる方法をとった。これが「キャリバーシース(Calibur Sheath)」である。("Sheath"は「鞘」の意)
当初ジオキャリバー2GR用として用意されたが、最終的にジオキャリバー2Nu用にも別個に用意されたため、2機種5シースと実に10バリエーションも用意されることとなった。
奇しくもこの多すぎるバリエーション展開が、アウトレンジアタックとマルチロールの両立につながり、全国家中U.G.の航宙機攻撃力を最強のものとして決定付けたのである。
後継機のジオセイバーも、多少バリエーションは整理されたがこの美点は引き継いでいる。
※ジオセイバーが制式化された時は、キャリバーシースから新しく「シース(=鞘)・フレーム」と名称変更している。
ガード・フレームと同様「ブレード(=刀身)・フレーム」「ガード(=鍔)・フレーム」とリンクさせたと思われる。
以下シースがあれば、特殊任務を除くほとんどのオペレーション、タスク、ミッションに対応できるが、LoLでは航宙機母艦リゲルの撃沈と共に大半のシースを失い、さらに航宙機母艦アルタイルにはAとEが1ユニットづつ、Cが2ユニットだけしかなかったため、ほとんど活躍はしていない。
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LoLに出たシースA「アサルトシース(アローヘッド)」 機体側部に装着されているエンジンがそれである |
シースA:アサルトシース(高機動作戦用突撃ブースター)
高機動作戦用の突撃用補助ブースター。
使い捨てのMQDであり高速突撃用の装備である。LoLにも登場しているが想定された使い方ではない。
人類向けの装備なのでPF型のMQDより出力が抑えられている。ジオキャリバー2GRはこれを装備することでジオキャリバー2Nuと同等の高速性能が手にはいる。ジオキャリバー2Nu向けのシースAもあるが、パイロットには「人間が使いこなせるものではない」ということで不評であった。
ジオキャリバー2GRは機体側部に装備する。愛称は「アローヘッド」と呼ばれた。
ジオキャリバー2Nuは後部に延長するように装備する。こちらは愛称というより畏怖に近く「モンスター」と呼ばれた。
シースB:ビームシース(重砲撃作戦用追加高出力ビーム)
シースに分類されているが、航宙機のマルチロール機能追加というよりは、むしろ艦外展開砲といったおもむきが強い。
単独で艦艇攻撃力を持たない航宙機母艦が戦艦とともに重砲撃作戦を行う際に使用された。艦外でドッキングして使用する。
砲身長98口径1000mm荷電粒子砲2門装備。同時2門発射するのではなく発射は1門のみ、もう1門は戦艦と同様、予備砲身であり、10射ごとに交換して使用した。(連続20射で終了だが、間隔をあけて冷却すればもう少し使用できる)
目的完遂後は砲身を捨て、キャパシタ部のみとなって帰還する。(キャパシタは再使用が可能)威力は戦艦と比較もできないほど劣るが、母艦付近でチャージすれば、艦から離れた位置で撃て、射程もジオキャリバー2の荷電粒子砲より長いため、これとシースC装備のジオキャリバー2を用いたペアを組み、敵艦のシールドレイヤーの薄いところを狙撃する戦法で使われた。
全シース中最大サイズを誇り、これを装備するとジオキャリバー2が見えなくなるほど大きい。シースBはジオキャリバー2Nu向けもあるが、このシースのみ機体の収まる部分が機体別になっている程度の差異しか見られない。
愛称は「ユニコーン」と呼ばれた。一説には、シースBの初の実戦投入となったオペレーション・ロゼットコサージ(ロゼットネビュラ攻防戦)で、運用パイロットが全員女性(7機投入された)だったのと、その長い砲身からこの愛称が付いたといわれている。
シースC:シーカーシース(偵察用広範囲レーダー)
ジャミング等、索敵視界が狭い場合に航宙機を用いた作戦を行うときに使うレーダー・ECMユニット。
探査船の偵察範囲より遥かに劣るが、近距離でなら分析能力が飛躍的に上がるため、アウトレンジアタック時に1機このシース装備機を入れて分析精度を上げていたようである。全方位半球体レーダーを機体左右から挟む形で装備するため、これを装備すると機首センサーユニットと後部エンジンノズルがのぞく程度になる。
愛称は「カタツムリ」と呼ばれた。
シースD:ドライブシース(長駆作戦用ワープドライブユニット)
短距離ワープドライブユニット。
1回限り、しかも短距離ワープドライブのみ可能。機首部にかぶせる形で装備する。
これ自身が小型の反応炉とキャパシタを持ち、キャパシタにエネルギーをチャージしてワープを行えるようになっている。
ワープドライブ距離は5000CL(0.5AU)と非常に短く、使用すると反応炉出力を使い切るため、跳躍後再起動手順が必要となり、敵中突入等攻撃時に使えないのが欠点であった。
PF型も編隊帰還用に同じ機能を持つが、高難度タスク・ミッション時にはAT型を全機回収して離脱するなどという悠長なことはほとんど不可能であったことから、これをAT型に装備して自前の帰還機能として使われた。
派手さはないがジオキャリバー2GR・Nuの両方で最も多用され、かつ愛されたシースでもある。
愛称は「ミスターD」。
シースE:Eシールドシース(航宙機母艦防御用機動エネルギーシールド)
シースB同様、航宙機のマルチロール機能追加というよりも航宙機母艦の機能不足を補うためのシールド・ユニットである。
展開直径100m、標準レイヤー数24(母艦リンク時)、瞬間最大レイヤー数48(母艦リンク時)、連続稼働時間36時間(母艦リンク時)で、Eサーフェス(エネルギーシールド)・Nサーフェス(中和シールド)・Dサーフェス(DFシールド)の3種類のシールドサーフェス(E.N.D.シールド)を組み合わせて、ジオキャリバー2前面に展開(形状・傾斜は敵弾種特性を分析予測し変更する)し、これを複数航宙機母艦の周辺に飛ばし機動シールドとした。
瞬間最大レイヤーの48は駆逐戦列艦の1.5L弾に対し、48枚全部をDサーフェスで避弾経始展開して48枚全部失ってぎりぎり跳弾させることが可能である。
シールド展開時の姿が傘そっくりだったことから、愛称は「アンブレラ」と呼ばれた。
LoLにも登場しているが、これを大気圏突入で使用したのはLoL(オペレーション・ホワイトストリーム)が初であり、かつ生還したパイロットもユウが初となる。その想定を大きく逸脱した使い方に、オペレーション・ホワイトストリーム終了後、この記録をみたゼネラルリソース社を大いに驚愕させた。
ちなみにユウが大気圏突入時にとったレイヤーは、最前面に12レイヤーのDサーフェスを多段板状展開して大気減速、その後ろに4レイヤーのEサーフェスを錘状展開して赤外線をカット(熱で機体がやられないようにするため)、さらにその後ろに8レイヤーのNサーフェスを半球構成展開して電子線・ノイズを中和する展開法(D・E・N展開法)をほとんど現場あわせで行った。
ジオキャリバー2のアップデート
後年、両機種とも数度のブロック・アップデートが行われ、The New Space Order中期後半まで使用された。
ジオキャリバー2GRのアップデート
ジオキャリバー2GRは、最初のアップデートで「ジオキャリバー2GR・ブロック20」となった。
※ブロックバージョンナンバーは十の位の偶数をゼネラルリソース社、奇数をニューコム社が使用している。
そのため、ゼネラルリソース社の最初の改修機は「ブロック20」となる。なお一の位はマイナーバージョンに使われており、社ごとの使用制限規定は無い。
これは荷電粒子砲のビームステートの変動幅を増加させたもので、対航宙機戦向けに連射重視であった荷電粒子砲を長時間照射可能にしたものであった。
続いて、「ジオキャリバー2GR・ブロック40」において、反応炉換装によりENDシールドの展開能力向上をはかった。
ブロック20、40と経て攻防共に性能を向上させ、かつ評判も良かったことから、更なるアップデートも検討された。
しかし、ニューコム社からのシェア奪還を優先させたジオキャリバー2GRは、迅速な開発、高い生産性、容易な機種転換に重点を置いていたため、それがここに来て裏目に出た。
旧式機から改修されたジオキャリバー2GRは、ブロック0がロールアウトした時点で、これ以上の新機能を搭載するスペースはなくなっていた(Q兵器すらも積まれていない)。それまでは新機器に換装することで済んでいたが、次なるアップデートでは大改修は避けられなかった。
これに対し、特に古参パイロットはジオキャリバー2GRの素直な特性を好む傾向が強く、大改修によりこの特性が変わることを危ぶむ声も多かった。
これら状況から、後述のニューコム社製「ジオキャリバー2Nu・ブロック70」に追随するのは最早不可能、と判断したゼネラルリソース社は、以降のアップデートを行うことなく、早々に次世代機開発へとシフトしている。
ジオキャリバー2Nuのアップデート
一方のジオキャリバー2Nuは頻繁なブロック・アップデートを行っている。
まずは欠点である対航宙機性能を向上させるため、荷電粒子砲の連射化を図った。これが「ジオキャリバー2Nu・ブロック10」である。
つづく「ジオキャリバー2Nu・ブロック30」で機動性・再加速性能向上のためにDFDの高出力化を行ったが、あくまでPDを搭載することは無かったので、よりいっそう扱いづらい機体となった。こちらは短期間で生産が終了している。
「ジオキャリバー2Nu・ブロック50」では、DFD出力をブロック10相当に戻し、その上で新型のENDシールドジェネレータに換装し防御力の向上を図っている。
これらブロック・アップデートは、ゼネラルリソース社同様、機器換装・再セッティングという形で提供されたが、D/D推進方式による本質的な欠点は解決されていなかったため、ニューコム社は大々的なアップデートを行った。
これが「ジオキャリバー2Nu・ブロック70」である。
まずは反応炉を換装、より高出力なものへと変更した。つづいて機体外部のENDシールドジェネレータのハードポイントに可動機構付き追加PDユニット「ムーバブルブースター・ブロック」の増設、さらにセンターDFDブロックの中身をごっそりPDに換装し、PDの推力バランスを修正した。
このアップデートによって稼働時間・最高速が低下したが、逆に加速・機動性の両方を解決し、同時期に稼動していた「ジオキャリバー2GR・ブロック40」よりも機動性能を向上させることに成功、ニューコム社の航宙機シェアの増加に大いに貢献した。
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ジオキャリバー2Nu・ブロック70後方図
オレンジ色に発光しているのがPDである
中央クラスター配置のDFD+外周3点配置のPD構成に変更
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ジオキャリバー2Nu・ブロック70側面図
推進系のアップデートのみで、それ以外の外観変化は無い |
ブロック70で大いに面目を施したニューコム社は、さらなるシェアの独占を狙い、ジオキャリバー2GRの担当領域を侵食する勢いで全面的アップデートを施した戦闘攻撃機の設計を行った。
これがジオキャリバー2最終モデル「ジオキャリバー2Nu・ブロック90」である。
このアップデートに伴い、ブロック70で採用された追加PDユニットは、大型フレーム化して「カウル・フレーム」としてブレード・フレームに固定化された。これにともない可動噴射機構は失ったが、新開発の「Dフィールド・マルチベクター・スラストノズル(DMTノズル)」により機動性はブロック70相当で維持されている。
また、フレームサイズにまで巨大化したエンジンプラットフォームは、より大型のPDが搭載可能かつ反物質搭載量も増加へとつながったこともあり、加速力のみならず稼働時間の向上にも寄与している。
最終的に、カウル・フレームのPDのみで充分な加速推力を得られたことで、ブロック70でPDにされていたセンターエンジンはDFDに戻されたたため、最高速度でもブロック70を超えている。
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ジオキャリバー2Nu・ブロック90後方図
センターエンジンはPDからDFDに戻されている |
武装面でも大きな進化が見られた。戦艦II型の「ロングバレル・キャノン」の技術をダウンサイジングして航宙機用とした「フォールディング・ロングディスタンス・キャノン(FLDキャノン)」の搭載である。
「フォールディング」の名のとおり通常は折りたたまれていて、戦闘時に展開して射撃する。これ一門で長射程・一条射の「シングルスナイピングショット」から、短射程・多条射の「ワイドスプレッドショット」といったように、戦艦II型同様のビームステート・コントロールが可能となっている。連射機能は持たないが、機体性能とこのビームステートの組み合わせで一撃離脱性能を高めている
この一撃離脱性能を向上させるためにセンサー類も強化されている。代表的なものとして、砲基部に内蔵されたサイティング・センサー類の換装のみならず、機首にあるターゲット・センサーブロック拡大が挙げられる。
これにより、特定敵機の狙撃照準計算や敵編隊を効率よく撃破する広範囲照準計算など、目標選別機能を重視した機能向上が図られている。
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ジオキャリバー2Nu・ブロック90側面図
「カウル・フレーム」「FLDキャノン」搭載で側面からは別機体のように見える
この位置だと機首センサーブロックの隆起が大きくなっているのがわかる |
当初の「対艦攻撃航宙機」から「一撃離脱戦闘攻撃航宙機」へと特化する大改修の結果、ほぼ別の機体とも言える性能を確保するに至っている。
本機の出現により、一時的にニューコム社製航宙機のシェアが70%を超え(事実上の独占)、ニューコム社の復権に貢献する機体となった。
ジオキャリバー2以降の新型機
ジオキャリバー2Nu・ブロック70の出現以降、再び押されたかに見えたゼネラルリソース社であったが、先述の通り、ブロック70の高性能を見るやいなや即座にブロック60以降の開発を中止、連邦政府へのロビー活動開始という切り替えの早さを見せ付けている。
それを察知したニューコム社が、つづくブロック90でさらに攻勢を深め、航宙機部門からゼネラルリソース社が駆逐されるる寸前までいきかけたが、ゼネラルリソース社は次期航宙機の優先開発権の取得に成功、ぎりぎりでこれを回避した。
なお、このときの優先開発権の取得によって作られたのが、後のソード・スタイル型戦闘攻撃航宙機「ジオセイバー」である。
ジオセイバーは、容積に余裕のあるジオキャリバー2PF型を原型機として、さらに進化・武装化させた機体である。原型機の特徴も継承することで、アウトレンジアタック時に牽引を行うPF型が不要となり、各機が自発機動で戦地に向かうことが可能となった。
この機体の出現により、アウトレンジアタックの運用レベルが大きく引き下がった。また航宙機母艦の航宙機搭載量に占める戦闘機数が増大した。これは航宙機母艦の戦闘力の増大にも貢献した、ということと同義である。
このことから傑作機の誉れ高く、再びゼネラルリソース社の名声を大きく高めることに成功した。こうしてニューコム社の台頭を2たび阻止することに成功している。
諸元
S-115A(PF-Nu) ※ショートストーリー登場版 |
機体名 |
ジオキャリバー2Nu パスファインダー型 |
開発元 |
ニューコム社(Neucom inc.) |
生産会社 |
ゼネラルリソース社(General Resource LTD.) |
全長 |
40m(戦闘モード時・高速モード時・探査モード時) |
全幅 |
22.4m(戦闘モード時・高速モード時)/27.2m(探査モード時) |
全高 |
18.2m(戦闘モード時・高速モード時)/27.2m(探査モード時) |
総員 |
1名(海凄哺乳類 ニューコム社製M兵器第II類 限定) |
航宙性能 |
750km/sec
|
反応炉 |
次元断崖光化反応炉(D-hole reactor) |
稼動限界 |
オーバードライブ:3分 戦闘稼動:500日 航行稼動:2000日 |
推進器 |
DFD(ディアスタシオン・フィールド・ドライブ) 主機4基 副機4基
MQD(マイクロ・クェーサー・ドライブ) 1基のみ(専用3ノズル・最大出力稼動15分) |
シールド |
ENDシールドジェネレーター 4基/シールド厚 12レイヤー 展開角50度 |
兵装 |
なし |
外部装備 |
なし |
特殊能力 |
ワープドライブ機能(跳躍距離7000CL 跳躍誤差±200CL 回数2回限定)
トレール機能(トラクターピボット6)
DILS
ガーメント・システム・グレード3 |
S-113F(SC-Nu) ※未登場 |
機体名 |
ジオキャリバー2Nu スキャナー型 |
開発元 |
ニューコム社(Neucom inc.) |
生産会社 |
ゼネラルリソース社(General Resource LTD.) |
全長 |
S-115A(PF-Nu)に準じる。 |
全幅 |
S-115A(PF-Nu)に準じる。 |
全高 |
S-115A(PF-Nu)に準じる。 |
総員 |
1名(海凄哺乳類 ニューコム社製M兵器第II類 限定) |
航宙性能 |
480km/sec
|
反応炉 |
次元断崖光化反応炉(D-hole reactor) |
稼動限界 |
オーバードライブ:3分 戦闘稼動:500日 航行稼動:2000日 |
推進器 |
DFD(ディアスタシオン・フィールド・ドライブ) 主機4基 副機4基 |
シールド |
ENDシールドジェネレーター 4基/シールド厚 4レイヤー 展開角16度 |
兵装 |
なし |
外部装備 |
なし |
特殊能力 |
ワープドライブ機能(跳躍距離5000CL 跳躍誤差±120CL 回数1回限定)
トレール機能(トラクターピボット6)
DILS
ガーメント・システム・グレード3 |
S-116B(PF-GR) ※Link of Life登場版 |
機体名 |
ジオキャリバー2GR パスファインダー型(中期生産仕様) |
開発元 |
ゼネラルリソース社(General Resource LTD.) |
生産会社 |
ゼネラルリソース社(General Resource LTD.) |
全長 |
36m(戦闘モード時・高速モード時・探査モード時) |
全幅 |
25m(戦闘モード時)/16.2m(高速モード時)/29m(探査モード時) |
全高 |
17.65m(戦闘モード時・高速モード時)/25.4m(探査モード時) |
総員 |
1名(海凄哺乳類 ニューコム社製M兵器第II類 限定) |
航宙性能 |
680km/sec MQDと併用で770km/secまで可能
|
反応炉 |
抑制型対消滅反応炉(SPA-reactor) |
稼動限界 |
オーバードライブ:15秒 戦闘稼動:14日 航行稼動:18日 ※DFD使用率50%想定値 |
推進器 |
DFD・PD(フォトン・ドライブ)ハイブリッド 主機2基 副機4基
MQD(マイクロ・クェーサー・ドライブ) 2基(専用2ノズル・最大出力稼動12分) |
シールド |
ENDシールドジェネレーター 3基/シールド厚 10レイヤー 展開角45度 |
兵装 |
なし |
外部装備 |
なし |
特殊能力 |
ワープドライブ機能(跳躍距離7000CL 跳躍誤差±500CL 回数2回限定)
トレール機能(トラクターピボット6)
DILS
ガーメント・システム・グレード2 |
簡易三面図 |
|
S-114C(AT-GR) ※Link of Life登場版 |
機体名 |
ジオキャリバー2GR アタッカー型(中期生産仕様) |
開発元 |
ゼネラルリソース社(General Resource LTD.) |
生産会社 |
ゼネラルリソース社(General Resource LTD.) |
全長 |
29m(戦闘モード時)/31.25m(高速モード時) |
全幅 |
10.9m(戦闘モード時・高速モード時) |
全高 |
22.35m(戦闘モード時)/11.7m(高速モード時) |
総員 |
1名(人類限定) |
航宙性能 |
390km/sec
|
反応炉 |
抑制型対消滅反応炉(SPA-reactor) |
稼動限界 |
オーバードライブ:15秒 戦闘稼動:14日 航行稼動:18日 ※DFD使用率50%想定値 |
推進器 |
DFD・PDハイブリッド 主機3基 副機4基 |
シールド |
ENDシールドジェネレーター 3基/シールド厚 4レイヤー 展開角14度 |
兵装 |
荷電粒子砲4門(連射型) |
外部装備 |
シースA:アサルトシース(高機動作戦用突撃ブースター)
シースB:ビームシース(重砲撃作戦用追加高出力ビーム)
シースC:シーカーシース(偵察用広範囲レーダー)
シースD:ドライブシース(長駆作戦用ワープドライブユニット)
シースE:Eシールドシース(航宙機母艦防御用機動エネルギーシールド) |
特殊能力 |
ガーメント・システム・グレード1 |
簡易三面図 |
ブロック別の違いは無し |
S-114D(SC-GR) ※未登場 |
機体名 |
ジオキャリバー2GR スキャナー型(中期生産仕様) |
開発元 |
ゼネラルリソース社(General Resource LTD.) |
生産会社 |
ゼネラルリソース社(General Resource LTD.) |
全長 |
S-116B(PF-GR)に準じる。 |
全幅 |
S-116B(PF-GR)に準じる。 |
全高 |
S-116B(PF-GR)に準じる。 |
総員 |
1名(海凄哺乳類 ニューコム社製M兵器第II類 限定) |
航宙性能 |
390km/sec
|
反応炉 |
抑制型対消滅反応炉(SPA-reactor) |
稼動限界 |
オーバードライブ:15秒 戦闘稼動:14日 航行稼動:18日 ※DFD使用率50%想定値 |
推進器 |
DFD・PDハイブリッド 主機2基 副機4基 |
シールド |
ENDシールドジェネレーター 3基/シールド厚 4レイヤー 展開角14度 |
兵装 |
なし |
外部装備 |
なし |
特殊能力 |
ワープドライブ機能(跳躍距離5000CL 跳躍誤差±120CL 回数1回限定)
トレール機能(トラクターピボット6)
DILS
ガーメント・システム・グレード2 |
コフィン・システム 解説
U.G.S.F.航宙機は、操縦システムとしてコフィン・システム(COnnection For Fright INterface)を使用する。
数百年前にゼネラルリソース社によって作られたENSI(Electro Neuron Synapce Interface)規格、オプトニューロン(Opto Neuron)を元に、ニューコム社によって、外科手術等によるアクセスデバイスの埋め込みを必要とすることなく汎用化された操縦システムである。操縦意思を感知して四肢を操るがごとく操縦可能なN.B.B.(ナビゲート・バイ・バイオシグナル)方式を使用している。
ENSIシステムの考案および開発は上記のとおりゼネラルリソース社であったが、宇宙開発時代が始まるころには航宙機や艦艇の導入競争で負けたニューコム社がこの分野で対抗し、その結果ENSI方式から進化したN.B.B.方式を考案、開発に成功し、アビオニクスでの主導権を握るに至った。そしてさらに数百年が経ち、The New Space Order War開戦の時点では、機体がゼネラルリソース社、アビオニクスがニューコム社というU.G.における基本的な勢力図が確定した。
ENSI方式、N.B.B.方式のどちらのコフィン・システムも、閉鎖型コクピットを使用し、方法の違いはあれど生体信号の類を電気信号化し操作出力を行う点で同一である。が、一転して情報入力に関しては、ENSI方式とN.B.B.方式では大きく異なる。ENSI方式は、外界映像と機体情報を直接神経に信号として送り込むのに対し、ニューコム社の開発したN.B.B.方式では、機体情報のみ神経信号とし外界映像は画像処理し全周全天式球体スクリーンに映し、直接視覚認識を行う点が大きく異なっている。
一見、神経信号を使うENSI方式のほうが効率的に思えるが、ENSI方式は神経に直接的に外界情報を入力するため、外界刺激や、神経攻撃等のハッキングを受けやすい。N.B.B.方式では、機体情報等、外部からハッキングを受けにくいインターナル・インフォメーションに限り情報入力を制限することでこれを防いでいる。
また、The New Space Order War時代における宇宙戦闘の特色として「有視界戦闘が少ない」という事情も大きく絡んでいる。数千キロのかなたから光速で迫ってくる艦砲射撃を回避するためには、発射閃光を見て避けるのでは既に遅く、またドッグファイトにおいても、戦闘速度が秒速10~400キロを超える速度領域では、目で見て認識するといった行動そのものがほとんど役に立たない。そのため、分析・予測機械の状況分析結果から事前回避行動を行うかどうかを決定する「分析予測回避」となっている。
これには分析機械の大幅な助力が必要であり、外界映像を一度分析、画像処理してから内部に映像として供給する方法がとられている。有視界で認識不可能な艦や航宙機などは一度機外センサーで望遠映像が撮影されたあと、個別にズームアップ処理され、再度画像処理された背景と合成して、コクピット内に映像として映している。また至近背景に恒星や有害光線がある場合などには、これを低減ないし除去した形での映像生成が行われる。
砲撃を例としてあげた場合、まずAT型の立体機動予測による位置情報と移動情報が分析機であるPF型に送信される。
それを受信したPF型では危険率の分析がされる。すなわち上記のAT型が収集した位置情報、移動情報と、PF型が個別に収集した敵艦の発射準備状況の分析から、発射エネルギーの蓄積、そのエネルギー量と、砲(艦)の向き、艦の移動方向と、その位置角から発射推定時間までに旋回できる角度と、その角度に向く可能性から発射可能性値が計算される。これを「未来危険率」としてAT型に返信する。
返信を受けたAT型では、この数値がもはや人間の反射速度では回避不可能な閾値を超える瞬間、つまり未来危険率100%に達すると、その後に事実として撃っても撃たなくても「発射された映像」がコクピット映像として再現される。パイロットはこの「未来可能性の映像」を見て回避する(経験に優れるパイロットの場合、回避しない場合もある。ここら辺はパイロットの技量である)。この予測映像生成に要する映像化処理遅延時間は100msec程度であり、この遅延部分も考慮した映像が作られる。
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O.R.B.S.とP.O.D.マルチファンクション・ヘルメット(いずれも後述)を介して見たコクピット映像
中央の護衛艦は8秒後に光子魚雷攻撃を開始すると予測されている
パイロットはこの膨大なデータを瞬時に解析、判断する能力が問われる |
この予測解析、予測画像生成、火器管制を行うのが「Neucom Predictor-FCS」である。かたや航法管制や、N.B.B.、DILS通信といった航法に関連した全般を統合したアビオニクスが「Neucom Aviator-NCS」である。さらにこれにO.R.B.S.閉鎖型コクピット、P.O.D.マルチファンクション・ヘルメット、P.L.U.G.、L.S.U.S.といったハードウェア、デバイス、ギアを含んだシステムの総称を、The New Space Order War期では「コフィン・システム」と呼んでいる。
ニューコム社は上記システムを「Neucom DSCIS(ディーシス)シリーズ」というモデル名でU.G.S.F.に納品している。アウトレンジアタック用モデルとして納品しているのが「Neucom DSCIS-0754GFE」であり、これは従来型コフィン・システム「Neucom ISCIS(アイシス)シリーズ」の「Neucom ISCIS-0685GF」をアップグレードさせたものである。
なお「Neucom DSCIS-0754GFE」だけコフィン・システムと呼ばず、開発者オーレリー・イラティ博士の名前をとって「イラティ・システム」と呼ばれることがある。(開発経緯はショートストーリー参照)
イラティ・システムが従来のコフィン・システムと異なり画期をなすのは、海棲哺乳類とE.S.P.の関連性を見出し、初の人類以外の動物によるE.S.P.操作を可能としたことと、従来、操縦信号でしかなかったE.S.P.を視覚出力として使用した点である。
U.G.では、E.S.P.科学はまだまだ発展途上で、存在は証明されたがその信用はまだ低く、E.S.P.を基準として作られたテクノロジーは非常に限られている。
イラティ・システムの考え方は、E.S.P.で全てを行う神聖宗教国の操縦法により近づく考え方である。
各種制御ハードウェア 解説
コフィン・システムは以下のハードウェアで構成される。
- O.R.B.S.閉鎖型コクピット
- P.O.D.マルチファンクション・ヘルメット
- P.L.U.G.
- L.S.U.S.
O.R.B.S.(Outside-circumstance Recognition and Blockade Sphere-shell)閉鎖型コクピット
O.R.B.S.とは、強力な兵器や宇宙線、真空等の障害からパイロットを保護するため、それ自体が1レイヤーのシールドで覆われている球体状のスフィア・シェル(脱出ポッドも兼ねる)と、広範囲の外部映像を見るために全周全天スクリーンによって構成されているコクピットのことである。
AT型向け(人類用)と、PF型向け(海棲哺乳類用)があり、AT型向け(人類用)はほぼ完全な球体をなしているが、PF型向け(海棲哺乳類用)は前後方向に長楕円となっている。内部は「Gダンパー」と呼ばれるディアスタシオン・フィールドによる人工力場が展開されており、高機動・急加速時のGを減殺させるようになっている。AT型向け(人類用)は下方向へ力場が発生させているが、PF型向け(海棲哺乳類用)はフローティング状態となるようになっている。砲出力にパワーを取られない分だけPF型向け(海棲哺乳類用)の方がGダンピング性能が高く(ディアスタシオン・フィールドのエネルギー消耗は大きい)、PF型のほうが高機動が可能となっている。
機体破損時は、このO.R.B.S.だけ脱出し、トラクタービームで牽引するか、牽引不可能な場合は、救難信号を発し救助を待つこととなる。外観はLoLでも見えないが、某社のゲーム筐体のデザインに酷似している。
P.O.D.(Personnel On-board device)マルチファンクション・ヘルメット
P.O.D.とは、U.G.S.F.標準の兵員用船外活動ヘルメットのことである。
航宙機パイロットのみが使うものではなく、整備兵や一般兵も戦闘時にはこれを使用する。
マルチファンクションの名が示すとおり、通常の頭部保護としてのヘルメット機能以外にも、バイザー内表示機能、二酸化炭素の酸素還元機能、後方カメラ装備、近距離トーカー機能、通信ヘッドセット機能、ボイスコマンド機能、デバイサー機能(後述)、また仮死ガス、自決用ガスなども内蔵している。
気圧センサーや外部信号によって0.2秒で強制的にアクチュエーター駆動でバイザーが閉まるようになっており、戦闘時の気密破れによる窒息や、爆発による頭部への衝撃保護を行うようになっている。
兵科によって、オプションハードとインストール・ファームウェアが異なり、使える機能は微妙に違う。
パイロットの場合、バイザー投影機能がオプションとして装備される。これはO.R.B.S.に投影された映像に連動する機能で、レーダー情報、機体ステータス、バイオステータス、通信ログ等を表示する。基本的に上記情報は、戦闘視界の妨げとなるのでO.R.B.S.には投影せず、必要に応じてP.O.D.ヘルメット内にオーバーレイ表示させるようになっている。
また戦闘時にはGダンパーが作動していても少なからずGがかかっており、後方へ振り向くことが難しい(O.R.B.S.コクピットは回転できるが、戦闘中のパイロットはシートに固定されているため、後ろに振り向けない)ので、後方カメラの映像もバイザー内に表示する。O.R.B.S.が機能しなくなった場合にもバイザー内表示に切り替えて表示する。
P.L.U.G.(Pilot to machine x-Link Universal Gear)パイロット=マシン間相互リンク用汎用ギア
P.L.U.G.とは、N.B.B.(ナビゲート・バイ・バイオシグナル)方式の特徴である脳神経信号・E.S.P.を使用した操作オーダーを送受信するためアンテナである。
ジオキャリバー2含む航宙機全般では、操縦桿やスロットルレバー等の完全な手動操作系統は緊急用でしか用意されておらず、かつ両腕は耐GのためL.S.U.S.(後述)で拘束されており通常時は動かすことさえできない。操作オーダーは、このP.L.U.G.を介して行う完全なハンズフリー操縦である。この操縦法の採用によって、戦闘機動時のG変化が原因として発生する手動入力ミスが相当数低減している。(反応速度を得ることよりもこっちの方が重要であった)
なおP.L.U.G.は汎用ギアであり、けっして航宙機でしか使用できないわけではない。司令部や情報長、少ないながらE.S.P.をつかったセクションでも使われている。
P.L.U.G.は、機能別に脳波あるいはE.S.P.の検知・変換・送信を行う「デバイサー」と、O.R.B.S.側で受信を行う「アクセプター」に分かれる。デバイサーはP.O.D.ヘルメット内に組み込んだ状態で使用するため、一般のパイロットには固有の機械として認識されることはなく、デバイサーとアクセプターを一律で「プラグ」「コフィンプラグ」と呼んでいる。しかしM.P.値(E.S.P.の強度単位、Manifest Power「顕現力」の意)500オーバーあたりのE.S.P.保有者から情報密度が高くなるため、信号欠落を防ぐためP.O.D.ヘルメットに組み込まず、直接頭に貼り付ける方式の専用デバイサーとなるため、こちらは特に「E.S.P.デバイサー」と呼び、区別をしている。
ちなみにユウの能力はM.P.値で400程度とE.S.P.保有者の中では低い方なので、E.S.P.デバイサーは使わず通常のデバイサーを使用する。(そもそもうっとおしい物は付けたがらない)
さらに、E.S.P.保持者の内、三能力全て(t-E.S.P.、s-E.S.P.、d-E.S.P.の三種)を持ち、かつA.M.P.(Absolute Manifest Power-owner「絶対顕現力保持者」の意。U.G.内の最強E.S.P.保有者の称号)を持つ「パーフェクト」のみ、E.S.P.デバイサーをさらに大型化したパーフェクト専用E.S.P.デバイサー「リング」を装着する。
(「パーフェクト」はThe New Space Order War期間、約350年間中、1人だけ)
L.S.U.S.(Life Sustained Universal Space-suit)多用途宇宙用スーツ
L.S.U.S.(「エルサス」と呼ぶ)とは、ニューコム社の系列会社ニューコム・S&M(サイエンス&マテリアル)社が開発した多用途宇宙用スーツである。
艦外活動(E.V.A.)時や、航宙機パイロット等、宇宙に身をおく場合に使用する。パイロットのみが使うスーツではない。
外側は「プログラムド・マテリアル(P.M.)」と呼ばれるPBO系混紡繊維、内側が「スキニング・マテリアル(S.M.)」という皮膚に近い有機タンパク質素材で作られている。プログラムド・マテリアル(P.M.)は、電気信号で伸縮制御・素材変質・反射色変更できる素材であり、これを制御することでE.V.A.モード、コクピットモード、ダンパーモードの3モードを状況別で選択できるようになっている。(ダンパーモードのみ緊急時に作動する。選択は出来ない)伸縮量はかなり大きいのでほとんどの体格にフィットするが、それでもアイルヤには少し大きかったようである。男性用と女性用があり排泄処理部の形状、コクピットモード・ダンパーモード等の形状が異なっている。
LoLではアイルヤが着用しているのが女性用、ユウが着用しているのが男性用である。パイロットの兵科色は水色なので、アイルヤも本当は水色にしなくてはいけないのだが、イリーナの計らいで紅白にしてある。(うろちょろされると困るから目立つ色にしてある)
- E.V.A.モード
→スーツが引き締まり、真空中での艦外活動の動作を阻害しないようになるモード。
- コクピットモード
→腕、足、背中のみ、内部のスキニング・マテリアル(S.M.)が発泡し固定することで、機体Gから体を守るモード。(LoLでユウとアイのコクピット搭乗時は腕と足が太くなっているのが見える。腕と足を固定されても操縦オーダーはN.B.B.なので問題はない)
- ダンパーモード
→背部パックよりスーツに電気刺激と空気が送りこまれ、内部のスキニング・マテリアル(S.M.)が発泡することで、爆発衝撃等から体を保護する耐衝撃モード。緊急時に展開する。
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L.S.U.S.(女性用)E.V.A.モード |
L.S.U.S.コクピットモード 両腕・両足が膨らんだ状態となっている。 |
となっている。
P.O.D.マルチファンクション・ヘルメットとは首のアタッチメントで結合される。アタッチメントは電磁吸着ロックと真空吸着ロックの2系統で、真空中での脱着は不可能となっている。
背部2点、上腕部2点、大腿部2点の計6点に電磁アンカーロックがついており、ジオキャリバー2等の戦闘航宙機のコクピットはシートに6点留めでロック(フルロック)される。シャトルや戦闘艦艇等は背部と大腿部の4点留め(ハーフロック)、カタパルトオフィサーや整備兵は背部の2点留め(イージーロック)で済ます場合が多い。
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電磁アンカーロック 上図はシャトルなのでハーフロック状態 |
また、仮死ガスで仮死状態にした場合の蘇生機能として胸部に電気ショックパッドが内蔵されている。
なお、リックら海棲哺乳類用のL.S.U.S.は、上記機能以外に背部・腹部・胸ヒレ部・尾ヒレ部にDFリフレクション・プレート(艦内に作られている人工重力、ディアスタシオン・フィールドを反射し浮上・推進する。またジオキャリバー2PF型のO.R.B.S.コクピット内部で浮上するためでもある)と、彼らはP.O.D.ヘルメットが使えないため、L.S.U.S.にヘルメットが組み込まれている。
ジオキャリバー2PF型パイロット 解説
PF型のパイロットはショートストーリー、LoLの双方で語られている通り、海棲哺乳類がその任に当たる。
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作中で活躍したリック |
バンドウイルカであるため、かなりの巨躯である |
とはいえ自然生息する海棲哺乳類を捕獲して使用しているわけではない。生態のまったく違う2種が共存していく際には、いずれか一方がもう片方の生態に合わせて調整されざるを得ない。この場合も海棲哺乳類が人類に合わせて調整される形となっている。
この調整処理はニューコム社の保有特許および独占部門であり、ニューコム社がU.G.内に持つ15の海棲哺乳類研究所でのみ行われる。
調整項目は卵子のDNA調整にはじまり、脳新皮質部分の肥大化処理と記憶野の発達処理、さらに生後に教育調整が行われる。おおむね5年程度で兵器としての出荷が可能となる。生後に教育調整される項目はおおむね以下のとおりである。
- 人類言語の習得(発音等ではなく、言語概念の習得が行われる)
- 人類知識の習得(歴史、日常知識、軍事知識)
- 人類の主観概念の習得(喜怒哀楽の習得、人間心理の習得、同胞意識の習得)
- 性格矯正(非戦闘的性格の矯正)
性格、知識共に矯正量は非常に大きく、この調整を受けた海棲哺乳類は、喜怒哀楽、言動、性格といった意識的な部分では人類に近く、自然に生きる同種のそれとはほとんど別個の生物となる。
かように人類と同等の意識、概念を持ちながら従軍する海棲哺乳類は、しかれども人類と同等の権利は有さず、U.G.S.F.内では『M兵器』と呼ばれるれっきとした兵器に分類されている。
これらM兵器はI類~VI類において群をなす。各類別は以下のとおり。
- I類:海洋部隊向け、生体兵器
- II類:宇宙軍向け、艦内情報処理オペレータ・航宙機パイロット(PF型・SC型)
- III類:宇宙軍向け、情報士官(情報長・編隊長)
- IV類:宇宙軍向け、探査船士官(この類だけ兵器でありながら艦長権限が付与される)
- V類:LoL時点では研究中 ※予約類別
- VI類:LoL時点では研究中 ※予約類別
PF型のパイロットは「M兵器第II類」として分類され、リックもこのカテゴリに属する。
上記のとおり、基本的に海棲哺乳類の性格は温和である。戦闘意識は、せいぜい自身と仲間を保護する程度しか持たないため、M兵器では性格矯正が施されている。LoLの時点でのニューコム社では、積極的な戦闘意識を持つ海棲哺乳類は誕生していない。
予約類別扱いとなっているⅤ類もしくはⅥ類がそれに相当するのではないかと言われている。
ジオキャリバー2AT型パイロット 解説
AT型のパイロットは、PF型とは異なり人類が担当する。これは海棲哺乳類が積極的攻撃を行えない生体であるためである。
アウトレンジアタック・リポートの実現とジオキャリバー2の運用に際して、戦闘部分を保障するのは人類なため、その養成には気が使われ、軍学校に新たに外宇宙航宙機科を設け、通常の航宙機科とは別に扱われた。
特に最初に完成したジオキャリバー2Nuのパイロット養成は、丸っきりの新設計だったため困難をきわめ、さらにその機体特性ゆえに非E.S.P.パイロットの損失が多かった。
その後代替機として完成したジオキャリバー2GRは、原型機であるジオキャリバーが既に内宇宙航宙機として使われていた実績もあり、内宇宙航宙機パイロットからの機種転換が比較的容易であった。ジオキャリバー2GRのパイロット養成は、せいぜい高機動戦でのノウハウはそのまま使用でき、アウトレンジアタックとPF型との連携のみ再教練を必要とする程度であったといわれている。この転換の容易さからジオキャリバー2Nuで失ったパイロットを補充するのに大いに貢献している。
それもあってジオキャリバー2GRのパイロットには機種転換組も非常に多い。LoLで登場したオメガ隊のうち、ユウは外宇宙航宙機科卒業組だが、「オメガ2」と呼ばれていたヒューリー・シャンカル、「オメガ3」と呼ばれていたサイラス・ナッカラが共にジオキャリバーからの機種転換組である。
これらAT型パイロットには冷静な解析力が資質として求められた。すでに上述の通り、The New Space Order War時点の戦闘の前哨となるのは、航宙機も戦闘艦も未来予測の情報戦である。
特にコフィン・システムで未来予測を使用した戦闘を行い、かつ軍事帝國もこの未来予測を理解し超能力で対抗しているため(「メカニックス軍事帝國戦列艦」参照)、実戦では敵は常にこの未来可能性映像の生成を騙すための欺瞞行動を行い、航宙機パイロットは更にそれに対する補間修正を繰り返し続けている。パイロットにはこの欺瞞に隠れた真実の状況を分析する力が要求される。
また、こういったこともあるため航宙機パイロットの良し悪しは戦闘経験と第六感(E.S.P.含む)による補間修正が大きな要素とされる。ユウの場合、そのいずれ(戦闘経験とE.S.P.)も備えているゆえに非常に優れたパイロットでもあったわけである。
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航宙機母艦リゲル・アルタイルのエースとして活躍したユウ |
歴代エースパイロット
航宙機の性能に優れるU.G.では、The New Space Order War全体を通して、多数のエースパイロットを生んだ。特に小を以って大を落とす風潮が強いU.G.では、航宙機の撃墜数よりも艦艇の撃沈量がすさまじい。
以下は、The New Space Order Warとそれを含む時代において、艦艇・空間施設の撃沈容積をもとに順列化したものである。
なお、航宙艇と航宙機は別カウントとなるため、この数値が低いことイコール技量が低いわけではない。LoLの主人公であるユウ・サイトウは航宙機撃墜数は非常に高いが、撃沈容積だけを見れば23位となる。これは、ユウはオペレーション・ホワイトストリーム以降、一時的に航宙機指導教官となっているためである。なお「オメガ2」ことヒューリー・シャンカルは撃沈容積では最終的にユウを抜いている。
順位 |
艦艇撃沈容積(Cubic ton) |
最終搭乗機種 |
パイロット・ガンナー・フレームライダー
(最終階級で表示、特進含まず) |
01 |
(推定) 4,500,000,000,000 Cubic ton |
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ジオブレードα(Nu) |
詳細不明 |
02 |
(推定) 3,900,000,000,000 Cubic ton |
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ジオフレームβ2(GR) |
詳細不明 |
03 |
(推定) 2,700,000,000,000 Cubic ton |
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ジオフレームβ(GR) |
イアン・ハイニック少尉 |
04 |
1,225,469,000,000 Cubic ton |
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ジオフレームα32 |
マクシミリアン・エラール少佐 |
05 |
613,893,000,000 Cubic ton |
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ジオフレームα |
ミシェル・ハイニック・ボールドウィン大佐 |
06 |
554,517,000,000 Cubic ton |
|
ドラグーンIDS |
アレクサンデル・マイヤー少将 |
07 |
554,493,000,000 Cubic ton |
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ジオスピアα(ドラグーンLDSα) |
アダム・バーカート少尉 |
08 |
487,951,000,000 Cubic ton |
|
ジオフレームα19 |
パウエル・ウォン大尉 |
09 |
392,334,000,000 Cubic ton |
|
ドラグーンIDS2 |
リヒャルト・テラー・ベヒシュタイン大尉 |
10 |
388,179,000,000 Cubic ton |
|
ジオセイバー |
アフメト・キーフ大尉 |
11 |
321,554,000,000 Cubic ton |
|
ドラグーンIDS |
セルマー・ナイマン中尉 |
12 |
291,722,000,000 Cubic ton |
|
ジオフレームα5 |
ゴー・チャン・パオ少尉 |
13 |
270,463,000,000 Cubic ton |
|
ジオフレームα7 |
ヴァルター・ラーケン大尉 |
14 |
242,659,000,000 Cubic ton |
|
ジオキャリバー2Nu |
ヘンリー・ブリュートナー少尉 |
15 |
220,321,000,000 Cubic ton |
|
ドラグーンIDS3 |
ルイス・マキハラ少尉 |
16 |
201,297,000,000 Cubic ton |
|
ドラグーンIDS |
ユリウス・シュミット中尉 |
17 |
184,775,000,000 Cubic ton |
|
ジオセイバー |
バイロック・シャンカル少佐 |
18 |
173,449,000,000 Cubic ton |
|
ジオセイバー |
ヨゼフ・リート中尉 |
19 |
171,201,000,000 Cubic ton |
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ドラグーンIDS |
アドラー・モースマン大尉 |
20 |
142,035,000,000 Cubic ton |
|
ジオキャリバー2GR |
ヒューリー・シャンカル中尉 |
21 |
112,001,000,000 Cubic ton |
|
ジオセイバー |
ハーン・ラクシュリ少尉 |
22 |
108,580,000,000 Cubic ton |
|
ジオセイバー |
ハッサン・アル・アジズ少尉 |
23 |
102,703,000,000 Cubic ton |
|
ジオキャリバー2GR |
ユウ・サイトウ少佐 |
24 |
98,800,000,000 Cubic ton |
|
ジオキャリバー2GR |
エドワーズ・マクダネル中尉 |
25 |
92,998,000,000 Cubic ton |
|
ジオキャリバー2Nu |
エル・シド・バッザーリ中尉 |
※U.G.での撃沈単位は、空間容積単位である Cubic ton( 1m*1m*1m の容積が 1 Cubic ton となる)を用いる。
これは各国の艦艇は外観では重量(排水量)が不明なため、ディアスタシオン密度計測による空間占有容積から算定するためである。なお、規格外大型艦等、単独任務で撃沈が不可能な艦艇は有効打撃機体に対し等分割される。
また上記には軍属民間人の記録は含まない。1位~3位の情報に欠落・推定数値が含まれるのは、The New Space Order Warの終戦から終戦後にいたる期間でU.G.に情報の混乱があったためである。
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