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U.G.S.F.戦史と航宙機母艦

U.G.S.F.の宇宙戦術黎明期と「アサルト戦術」の確立

U.G.は他の国家と異なり、外宇宙進出当初より外敵の襲来に悩まされてきた国家であった。敵対勢力の種類は、UIMS、ギャラガ、巨大宇宙生物、ボスコニアン、バッツーラ、サディーン、果ては人類同士と、その数も種類も枚挙に暇がなく、かつその全てをU.G.は勝利で飾ってきた。
この際、主戦力となったのが航宙機である。
これは、外宇宙進出直後という事情もあった。量産艦でせいぜい数百m、隻数限定なら数kmサイズがやっと、という当時のU.G.S.F.の建艦規模では、小惑星サイズの要塞などには到底太刀打ちできなかったからである。

UIMS(ウィムス)
Unknown Intellectual Mechanized Species 未確認機械知性種
人類が最初に出会い、そして長きに渡って戦ってきた仇敵
後の「駆逐戦争」でU.G.領星系内のUIMSは完全駆逐されたが
領星系外にまだ多種多数のUIMSが残存しており、かつ進化増殖している
上図のはU.G.S.F.で「UIMSδ」と呼称されるUIMSの一種である
The New Space Order War中もたびたび侵入をこころみている
2900年代にU.G.と封建王朝国にのみ襲撃を行っているのが確認されている


これを人類が最初に遭遇したETI「UIMS」を例にするならば、対抗手段として大型戦闘艦を用いず、特殊攻撃艇であるドラグーンを建造したことが挙げられる。
つまり正面からの物量戦にもちこまず、可能な限り小さな機体にコスト度外視で強力な火砲と優れたパイロットを搭乗させて、迅速果敢に敵中深く侵入し中枢部を破壊するという奇襲戦法をとることで、やっと強力な敵と対峙することが可能だったのである。

この戦法はぎりぎりであったが幾度かの成功を修めた。
そして同時にいくつかの副産物ももたらした。強大な敵を撃破することで人類は未知の技術や鹵獲兵器を手にしていったのである。 なりふり構ってはいられないU.G.S.F.は、恐れることもなくこれらを貪欲に吸収していった。
オペレーションを勝利を飾るたびに、これら技術を用いたより小型の機体、より強力な火砲の開発が進められていった。
「オペレーション・スターラスター」の頃には、わずか全長5m強の機体に準ビッグバン級のエネルギーを発生させるまで究極進化し、単機突入による奇襲戦法により磨きをかけていったのである。

これら特殊航宙機は、襲来する外敵を発見次第、あらゆる法令・資材・技術・人的資産に関する制限条項を無視して即時開発できるように、開発面においてもシステム化された。これは特に最初の特殊航宙機ドラグーンの開発コードネームを取って、「プロジェクトD(D計画・特殊航宙機開発計画)」と呼ばれている。

オペレーション・ゾルギア
対UIMS戦とは異なるが、ゾルギア作戦に投入された「ドラグーンJ2」も
コスト度外視の火砲および航宙機での奇襲戦法という意味では同じであった


こうして国家体制も含みシステム化された小型機突入戦術は、U.G.S.F.の基本戦術にまで昇華し「アサルト(Assault・強襲)戦術」と定義づけられたのである。

「アサルト戦術」の衰退と新戦術の考案

しかし、時が流れて人類の可住星系の拡大化すると、この「アサルト戦術」は徐々に適応しがたくなっていった。
どんなに強力無比であれ、所詮1機だけでは広大な領星系をフルカバーすることは不可能であった。さらに可住星系の拡大化は同時に襲来する外敵の種類も増加させた。これにより、「プロジェクトD」の発動回数も増加、国費や資源のみならず貴重な鹵獲兵器の消耗も著しくなっていった。
オペレーションで勝利することで増えていった人類の可住領域は、一方でそれに多大な貢献をした「アサルト戦術」を無意味なものへと変化させていってしまったのである。

この流れは、少なからず航宙機にも影響を与えた。
例として挙げられるのは「オペレーション・スターブレード」である。本作戦に従事した航宙機「FX-01(通称:ジオソード)」は、単機突入による奇襲戦法ではなく小隊規模での奇襲作戦となっていた。

オペレーション・スターブレード
従来の単機強襲作戦から、集団強襲作戦への転機となった作戦であった


より生残性、作戦成功率を重視した結果、外周防衛圏突破は航宙機単独で行わず、強襲母艦ブルフィンチ級を使用し、作戦目標に安全に接近する一方、攻撃では航宙機数十機による同時強襲を行うようになっていったのである。
こうして、1機の航宙機に国家の命運を託す博打的「アサルト戦術」から、よりリスクヘッジを狙った「スコードロン・アサルト戦術」へと徐々に変質していったのである。

また、軍備の拡張も航宙機偏重から、より重厚長大的な戦闘艦をつくる方向へと変質していった。
敵鹵獲技術の恩恵にあずかれたのは、航宙機だけではなく、戦闘艦艇も同様に著しい進化を遂げた。それだけに、究極まで進化してしまった航宙機よりは、開発余地、搭載余地の広い艦艇に開発の重心がシフトするのは自明の理であった。

それを表すかのように、それまで濫発気味であった「プロジェクトD」に代わり、「プロジェクトE(E計画・軍備増強再編計画)」「プロジェクトF(F計画・艦隊増強再編計画)」が数次にわたり発動されるようになった。
この一連のプロジェクトによって、対UIMSの一大駆逐作戦である「オペレーション・ドレッドノート」を発動する頃には、U.G.S.F.は総勢で104万隻もの巨大な艦隊を擁するに至った。
従来、特殊航宙機を守るためのものでしかなかった艦隊は、その性能のみならず規模も著しく拡大させていったことで徐々に主力の立場を取り戻していったのである。

以降はこれら艦隊を中核とした物量激突戦の時代へと突入した。
「オペレーション・ブループラネット」では、母艦である強襲母艦ブルフィンチ改級に、UIMS母艦が艦隊防衛用として使用していた多層複合型防御フィールド「ENDシールド」技術を初めて投入した。

オペレーション・ブループラネット布陣図
強固なENDシールド・シェルで艦隊を包んで防御するUIMSに対し、U.G.S.F.は同技術で対抗した
右上のUIMSは重深レイヤーのENDシールド・シェルで艦隊を包みつつ侵攻している
対する左下のU.G.S.F.艦隊はNサーフェスでこれを中和し数隻がレイヤー内に侵入しているのがわかる


これにより、従来大型艦の侵入を拒んでいたUIMS中枢母艦集団の展開する巨大なENDシールドレイヤーを中和・突破しての接近が可能となった。
同じく本作戦に投入された、ゼネラルリソース社製の最新鋭機「ジオキャリバー」は、もはや高価・エネルギー消耗の激しいワープドライブを持たず、そのエネルギーの大半をプロトン魚雷・荷電粒子砲に回すことができ、強力な火力をもってUIMS母船「メガマウス」を内部から破壊している。
このようにして、航宙機に代わり艦隊で敵勢力圏突入を行う新戦術「フリート・アサルト戦術」が成立したのである。
※なお、プロジェクトEやプロジェクトFによって増強された100万隻超のU.G.S.F.艦隊は、オペレーション・ドレッドノート以降の一連の駆逐戦争において98%もの損失を出し、「オペレーション・スターイクシオン」のようにモスボール保存していた強力な航宙機が再使用された例をはじめ、いくつかの例がないわけでもなかった。が、いずれもU.G.S.F.艦隊の再編成中のみという比較的短期間で使用されている。

「パクス・ギャラクシア」と戦略転換

この「オペレーション・ブループラネット」終結以降、幾度かのオペレーションを経た後、U.G.に一時的に外敵襲来のない平和な期間が訪れた。

「パクス・ギャラクシア」である。

この時代にU.G.は戦略転換期に入った。
まずは従来の広範囲の宙域を遊弋し敵を発見次第殲滅する「フルカバー戦略」から、戦略拠点である各星系に固有艦隊をおいて重点防御する「星系防衛戦略」へとシフトした。各星系にはギムレッツホワイト・スノーホワイト・ボスコベース等の設計を進化させた機動プラットフォーム(通称:スペース・ベース)が配備された。

機動プラットフォーム周囲の防衛戦
パクス・ギャラクシア時代に星系内に多数配置されたスペースベースは
The New Space Order War時にも強力な防衛線として軍事帝國の侵攻を良く防いだ


さらに同時にU.G.S.F.艦隊の再編も行っている。
一連のE計画やF計画によって大量に生産された艦艇は、駆逐戦争でその大半は喪失していたが、それでもまだ多くの艦艇が残っていた。
そのうち、凌重力波・外宇宙航宙性能の低さが目立った200m~700mサイズの駆逐艦・巡洋艦・戦艦は、その航宙距離・性能を星系内運用規模(星系から10光年程度)にまで落とし、出来た余剰スペースに兵器を搭載し戦闘力を増大させた。
そして、これら艦艇群をあらたにスループ(警備艦)・コルベット(防衛駆逐艦)・フリゲート(防衛巡洋艦)・ガードシップ(防衛戦艦)として再定義した。
これが、星系防衛任務を重視した短航宙距離・重武装艦隊「U.G.S.F.後衛艦隊(リアガード・フリート 別名:内宇宙艦隊)」である。

また、これと同時にD計画によって大量に作られた航宙機はランクC(内宇宙防衛戦力群)に落とされ、ほぼ全てが星系内の機動プラットフォームへと再配備されている。
さらに各星系には、有事にはU.G.S.F.隷下に入ること・内宇宙艦隊レベルであること・U.G.S.F.艦種定義に従った建艦を行うことの3つを条件に、U.G.S.F.所属以外の星系艦隊・私艦隊の創設を許可した。

こうして各星系の固有防衛戦力が確実なものとなると、次に「プロジェクトG(G計画・銀河艦隊計画)」が発動された。
これは外宇宙航行能力を強化、そしてかつてU.G.がことごとく辛酸をなめさせられた相手「未知の外敵」との遭遇戦を想定した戦闘能力強化艦隊の創設計画であった。これが「U.G.S.F.前衛艦隊(ヴァンガード・フリート 別名:外宇宙艦隊)」である。

この最初の艦種となるのが700mオーバーサイズの新型外宇宙戦闘艦「護衛艦I型(戦闘巡洋艦)」である。
この後「戦艦I型(装甲打撃艦)」が出現するのは、メカニックス戦艦II型を読んでの通りである。

護衛艦I型(戦闘巡洋艦)
ゲーム中やLoL中でもやられ役的な護衛艦I型であるが
これは外宇宙戦闘艦の中にだけ限った話である
本来は内宇宙艦艇と比較にならない強力な艦艇である
戦艦I型(装甲打撃艦)
こちらも護衛艦と同様に強力な艦艇である
内宇宙戦闘艦のバリエーション豊かな武装と比べて
主兵装は荷電粒子砲だけとなっているが威力は壮絶である


「The New Space Order War」勃発

こうして再構築されたU.G.S.F.艦隊であったが、次なる外敵は比較的早く遭遇することとなった。
軍事帝國との遭遇と、その後350余年にわたる大宇宙戦争「The New Space Order War(新宇宙秩序戦争)」の勃発である。

U.G.と軍事帝國との初遭遇は「エイヴォンフォード・コンフリクト(エイヴォンフォード紛争)」である。
故意ではなかったが、最初の遭遇から武力をもってなされた。
半民半軍で運用されていた探査船がエイヴォンフォード宙域外縁を警備中、所属・艦種不明の宇宙船より攻撃を受けた。探査船は連邦コンピュータ連邦コンピュータ「Federation FEDCON-5」に、同種の攻撃兵器の登録、同宙域での活動中の宇宙海賊の活動等々の情報照会をするも、いずれも事例無しとの回答が帰ってきた。
これを受けて探査船は、かつて幾度となく戦った「未知の外敵」が再襲来したと判断、自動応戦機能が働き、敵の小型艦艇(後に軍事帝國偵察船であることを確認)を撃破した。

同時に緊急通報を受けたエイヴォンフォード軍港から後衛艦隊が進発、ほぼ同時に同宙域に到達した敵艦隊と交戦となった。最終的には排除に成功するも、その後続に少なくとも20隻の艦隊が存在するのを確認した。
エイヴォンフォード司令部は、後衛艦隊のみで宙域の防衛は困難と判断、近隣星系の私軍の援軍を要請した。
これを受けて下記艦隊が近隣星系から進発、エイヴォンフォード宙域への援軍に赴いた。

エイヴォンフォード遭遇戦布陣図
エイヴォンフォード星系での私設艦隊(手前光点)と軍事帝國(左方向光点)との布陣図である
New Space OrderのOPムービーのうちU.G.と軍事帝國の対決シーンはこの遭遇戦を描いている


・星系保有艦隊
  ヴァンカーク星系からコルベット14隻
  コーネリアス星系からガードシップ2隻

・各企業私設艦隊
  ゼネラルリソース社からガードシップ3隻
  ニューコム社からコルベット2隻
  アージュ・アビアシオン社からスループ3隻

現有戦力と援軍でようやっと戦力は均衡したが、戦闘で徐々に減る艦艇数にエイヴォンフォード司令部が恐慌を起こし、さらに母星ガイア中央司令部に追加の援軍を要請した。
その結果、隣接星系に進駐・調査を行っていたヴァンガードフリート第13集団艦隊(戦艦I型34隻、護衛艦I型268隻、偵察船42隻、補給艦12隻、修理艦5隻)がエイヴォンフォード宙域に派遣され、即座に敵を殲滅した。

すでにこの時点で対話による終息は不可能であった。暫定コードネーム「軍事帝國」と命名された集団は、エイヴォンフォード宙域を囲むように続々と艦隊を投入、徐々に規模を拡大させていった。
最終的にエイヴォンフォード宙域全体に戦闘が拡大し、U.G.S.F.艦隊は、前衛艦隊2000隻、後衛艦隊600隻を投入、敵対勢力すなわち軍事帝國艦隊は1800隻を投入するにいたった。
※なお、このときの現有戦力が、U.G.S.F.全体で前衛艦隊2万隻、後衛艦隊19万隻の総数21万隻となる。対する軍事帝國はすべて外宇宙艦隊相当戦力(軍事帝國に内宇宙防衛特化艦艇はない)で総数5万隻(後に判明)であり、これは攻撃面では軍事帝國側有利、防衛面ではU.G.側有利の戦力比となっていた。
後に反戦派は、中央司令部がこの全艦艇を示威に用いれば、少なくともThe New Space Order Warは勃発しなかったと主張している。

こうして始まったThe New Space Order Warだが、緒戦は宇宙進出以来数百年にわたり、凄絶な宇宙戦争を乗り切ってきたU.G.S.F.に一日の長があった。
U.G.S.F.側は前衛艦隊の数が少なかったが、連邦コンピュータ「Federation FEDCON-5 D.B.」が持つ過去の豊富な戦闘データベースがあった。これにより「パクス・ギャラクシア」によって戦闘経験の乏しかったコマンダーでも連戦連勝をおさめ、攻勢においても彼我戦力の差ほど苦戦はしなかった。

なかでも前衛艦隊に投入されていた装甲打撃艦「戦艦I型」は、この攻勢の中で大きな位置を占めていた。
もともとKmオーダーの外敵が攻めてくる事を想定して搭載された主砲の「荷電粒子砲」は、その想定をどれ一つとして裏切ることなく、軍事帝國の艦艇にも初っ端から容赦なくその威力を発揮し、あらゆる戦場で勝利していったのである。

前衛艦隊 第13集団艦隊所属の戦艦I型
軍事帝國艦隊の攻撃に対し荷電粒子砲を応射している
UIMS以上の敵を想定して搭載された荷電粒子砲は期待を裏切らない威力であった


「オペレーション・フォースドマーチ」

初遭遇戦が行われたエイヴォンフォード宙域を皮切りに、領宙線4万光年の各所で次々と軍事帝國との衝突が始まった。この戦域拡大は、数で劣るU.G.S.F.前衛艦隊に不利に働き始めた。
さらに軍事帝國人の特徴であるESP「超感覚」は、一度の戦闘経験で吸収する経験値がU.G.S.F.のそれとは比較にならないほど著しく、軍事帝國側の練度が飛躍的に向上していったのもこれに拍車をかけていた。

これに対しU.G.S.F.は、後衛艦隊の整備を止めて前衛艦隊の増強で対抗した。
具体的には、戦艦を補助する護衛艦隊群の増強、戦艦I型の主兵器である荷電粒子砲の性能向上である。
The New Space Order War開戦から40年も経つと、艦艇の生産も安定し、U.G.S.F.前衛艦隊12万隻、後衛艦隊28万隻の総数40万隻、対する軍事帝國は総数13万隻と、U.G.S.F.側有利となった。

そして同時期に、U.G.S.F.は満を持して対軍事帝國攻勢作戦「オペレーション・フォースドマーチ」を発動した。
衝突激化のためにどちらの領宙域にも属していなかった「エイヴォンフォード=マーシャルフロー線」を人類初の超光速強襲で突破、領宙線防衛に当たっていた軍事帝國艦隊の背後に回りこみ、これを殲滅した。
U.G.S.F.は、軍事帝國艦隊をマーシャルフロー宙域より排除することに成功し、即時居住可能・開発可能星系の多いマーシャルフロー宙域を手に入れた。

が、同時にこれはU.G.S.F.の首を絞めた。
所属星系の多さから、U.G.領宙線は一気に5万光年もの長大なものとなった。実に25%もの領宙線拡大と大量の未開発星系の入手は、U.G.に内政的に星系開発、軍事的に星系防衛という2つの負荷を負わせたのである。
そして、軍事帝國はこの好機を逃さなかった。
この状態を確認するや軍事帝國は反攻を開始、5つの軍管区から召集された約5万隻を投入、ここに四次にわたる「マーシャルフロー防衛戦 (※第一次:オペレーション・ブラスト/第二次:オペレーション・ストロングゲイル/第三次:オペレーション・タイフーン/第四次:オペレーション・ファイアストーム) 」が勃発、これがThe New Space Order War初期最大の会戦となった。

U.G.S.F.側は、実に保有戦力の20%である前衛艦隊4万隻、後衛艦隊4万隻の計8万隻を投入した。
※これは3個大艦隊規模に相当する。 U.G.S.F.の艦隊単位は、分艦隊以下を割愛すると、20隻=艦隊、10個艦隊=星系艦隊、5個星系艦隊=星系集団艦隊、5個星系集団艦隊=腕周艦隊、5個腕周艦隊=大艦隊、5個大艦隊=集団艦隊、全ての集団艦隊=総艦隊、となる。 最大は総艦隊となるがこれは単位としてだけの意味合いが強い。The New Space Order Warにおいて、この規模がコマンダー1系統で運用されたことはない。 なお、最終的にU.G.S.F.艦隊は、前衛艦隊28万隻、後衛艦隊53万隻の総数81万隻で安定している。比較として、同時期の軍事帝國の保有艦艇数64万隻、神聖宗教国の保有船舶数49万隻、封建王朝国の保有艦艇数は124万隻となっている。

最終的に、軍事帝國の一気投入に対しU.G.側は星系防衛を志向、U.G.S.F.艦隊の逐次投入を行ったため四次の防衛戦全て敗北した。 損失は、U.G.S.F.側5万隻(前衛艦隊3万隻強・後衛艦隊2万隻弱)、軍事帝國側1万隻弱という大差であった。
戦略面では、マーシャルフロー星系、エイヴォンフォード星系をことごとく失陥した。

マーシャルフロー星系クリーバル星の失陥


U.G.は辛うじて次回攻略の足場としてヴァンカーク星系を残すにとどまったが、ヴァンカーク星系は可住惑星が1と開発キャパシティの少ない星系であり、多くのレアメタル産出惑星や可住惑星があった2星系と比べるとかなり見劣りがした。

また、この会戦では、軍事帝國は新型戦闘艦「駆逐戦列艦」「戦列艦」を組織的に投入してきた。
「駆逐戦列艦」は、搭載する重粒子超光速弾砲「カデス・ターク」の射程・弾速を活用し、武装は強力だが射程の劣る後衛艦隊にアウトレンジ狙撃を行うことで優位に立った。
特に「戦列艦」は、軍事帝國が手を焼いていた戦艦I型対策として投入された。
前方向に火線が集中している戦艦I型に対し、「カデス・ターク」の回転砲塔型を活用した同航戦や反航戦を挑み、そのほとんどの戦闘で優位に立った。
残った護衛艦隊も練度が向上した駆逐艦で個別に撃破することで勝利を確実なものとしており、戦術面でもU.G.S.F.は、その量・質共に完全な敗北を喫したのである。

敗戦からの再起と「アウトレンジアタック・リポート」

マーシャルフロー星系の失陥と、U.G.S.F.総艦隊の2割に及ぶ損失は中央司令部を震え上がらすのに充分な数字であった。
U.G.S.F.はこれをうけて、急遽、連邦コンピュータ「Federation FEDCON-5 D.B.」の過去の戦闘データベースを洗い、同様の戦訓がないかを分析した。
そこでいき当たったのが、前述の「オペレーション・スターブレード」「オペレーション・ブループラネット」であった。

ただ、「オペレーション・スターブレード」「オペレーション・ブループラネット」は、両作戦とも敵UIMSの攻撃能力はそれほど高くなく、当時は装甲母艦で敵の勢力圏にまで突出して航宙機を発進させることが可能であった。
今回の場合、軍事帝國のカデスタークの攻撃は、ENDシールドが破られれば一撃なので、敵勢力圏まで突出して発進させるのは危険と判断され、敵射程外から発進、強襲するのがベストと判断された。
これにより、以下の戦術大綱(リポート)が策定された。

  1. 軍事帝國の超光速重粒子弾に対し、ENDシールドの共振・共晶効果で、艦隊を1つの巨大な重装甲艦として運用する。
  2. このさい、1.の艦隊内の編成は多種の艦艇を組み合わせることで、様々な戦闘状況に即応できるようにする。
  3. 軍事帝國の超光速重粒子弾に対し、それを上回る超長航宙距離の航宙機をもって強襲する。
  4. 3.を可能とする新型航宙機を設計する。
  5. また3.の運用と、2.の艦種増加に対応する新母艦を設計する。

こうしてできたのが、いわゆる「アウトレンジアタック・リポート」であり、数百年におよび使われなくなっていた航宙機と母艦による「アサルト戦術」を、U.G.S.F.は再び復活させたのである。

航宙機母艦I型 概要

軍事帝國の超光速実体弾攻撃「カデス・ターク」への対抗策として立案された、射程外からの航宙機奇襲戦術提案書である「アウトレンジ・アタック・リポート」を実現するためだけに作られた戦闘艦である。



リポートに基づき、最初に外宇宙用戦闘航宙機「ジオキャリバー2」が作られ、その後、運用艦として航宙機母艦が設計された。U.G.S.F.における外宇宙戦闘艦では初の航宙機運用艦である。U.G.S.F.では艦隊戦の中核をなす主力艦に分類され、戦艦と同様に旗艦機能(司令部ユニットの装着が可能)を持つ。

後述のアウトレンジアタックを運用できる唯一の艦種として、戦艦・護衛艦とは設計思想のまったく異なる三胴式艦体(トリマラン・ハル)となっている。

ショートストーリー、Link of Life(以下LoL)、ゲーム中のいずれでも「航宙機母艦(Spacecraft Carrier Vehicle)」といった名称で一括りで呼ばれているが、これは戦場に出る量産航宙機母艦である「標準艦(Standard Ship)型航宙機母艦」を指すことが多い。

LoL中に出ている航宙機母艦は、「リゲル」「アルタイル」ともに第一世代型航宙機母艦、すなわち航宙機母艦I型である。
航宙機母艦I型の標準艦のクラスは6級、それぞれイーグレット級・シュライク級・サンドパイパー級・マーリン級・ケストレル級・アルバトロス級である。

これら6級の違いは、装備・搭載機器・運用艦載機の違いである。
そのなかでも特に大きな差異は運用艦載機である。これはU.G.における2大企業、ゼネラルリソース社とニューコム社の権益争いを端に発している。 ※この経緯の詳細は「メカニックス ジオキャリバー2」の項目を参照のこと。

航宙機母艦I型のシタデル構造
艦載機運用や、アウトレンジアタック等、艦に負荷の
かかる部分が多く、ブロックの分割は非常に細かい


この結果、ニューコム社製とゼネラルリソース社製の「ジオキャリバー2」の名を持つ異機種同名機体が2種が存在し、さらに後継機として「ジオセイバー」が存在したため、これにあわせて航宙機母艦も搭載機種ごとに3種が用意された。

すなわち第一世代型航宙機母艦のうち、イーグレット級・シュライク級の2級からなるニューコム社製ジオキャリバー2運用艦級群、マーリン級・ケストレル級の2級からなるゼネラルリソース社製ジオキャリバー2運用艦級群、サンドパイパー級・アルバトロス級からなるゼネラルリソース社製ジオセイバー運用艦級群である。

両者の外観的差異は即座に認識しづらいが、中央艦体ブロックを除く各ブロックが丸々異なっている。

イーグレット級・シュライク級は、ニューコム社製ジオキャリバー2を運用する予定であったことから、PF型の着艦・格納・射出を行う「Cハンガー・ブロック」と、AT型の着艦・格納・射出を行う「アウトリガー・カタパルトアーム・ブロック」をニューコム社が製作を担当した。残る「中央艦体ブロック」をゼネラルリソース社が製作を担当し、しかる後に完成したブロックをドックで結合するという形を取っている。
この際、ニューコム社製ジオキャリバー2は、専用の高出力EMカタパルトを必要としたことから、アウトリガー・カタパルトアーム・ブロックが太くなっているのが特徴である。

アウトリガー・カタパルトアーム前面図
上2つトンネルがAT型のカタパルト、その下の環状フレームトンネルがU.G.S.F.ソードスタイル用標準カタパルトである
この画像ではカタパルト形状がゼネラルリソース用となっている
AT型専用カタパルト発進口
内部にあるジオキャリバー2を見るとわかるが
射出性能を上げるためにギリギリの構造となっている
それゆえ2社のジオキャリバーともカタパルトが異なっている


マーリン級・ケストレル級は、搭載機のゼネラルリソース社製ジオキャリバー2が加速力に優れており、ニューコム社製の高出力EMカタパルトがオーバーキャパシティであったことから、ゼネラルリソース社製の小型省エネルギーのものに変更している。
この際、アウトリガー・カタパルトアーム・ブロックは細くされ、スマートになっているのが特徴である。

サンドパイパー級・アルバトロス級は、搭載機のジオセイバーがPF型を不要としたため、Cハンガー・ブロックの形状が大きく変更した。また機体サイズが大型化したためアウトリガー・カタパルトアーム・ブロックの形状が変更され、前級とは形が大きく変わっている。

Cハンガー
画像中央より下にある縦長のブロック内に
弾倉式にPF型が格納されている
PF型専用発進口
PF型は強力なMQD(マイクロ・クェーサー・ドライブ)を持っており、アウトレンジアタック以外でカタパルトを必要としない
そのため発進口のみとなっている



  級名 搭載機種 設計・生産主管会社
       
第I世代型・・・  イーグレット級 ジオキャリバー2(Nu) ゼネラルリソース社・ニューコム社共同
  シュライク級 ジオキャリバー2(Nu) ゼネラルリソース社・ニューコム社共同
     
  マーリン級 ジオキャリバー2(GR) ゼネラルリソース社製
  ケストレル級 ジオキャリバー2(GR) ゼネラルリソース社製
     
  サンドパイパー級 ジオセイバー ゼネラルリソース社・ニューコム社共同
  アルバトロス級 ジオセイバー ゼネラルリソース社製
     
第II世代型・・・ レッドシャンク級 ドラグーンIDS ゼネラルリソース社製
  グリーンシャンク級 ドラグーンIDS ニューコム社製

航宙機母艦アルタイル概要

上述のとおり、アルタイルはU.G.S.F.における第一世代型のケストレル級航宙機母艦である。
前述の通り旗艦機能も有しており、LoLでは、コマンダーであるマイヤーの座乗艦として地球奪還艦隊の旗艦となっている。

航宙機母艦アルタイルは当初、地球駐留艦隊旗艦である航宙機母艦リゲルの装備更新にあたり、その代艦として派遣されたものである。マイヤーも当初は、アルタイルを地球艦隊に引き継ぐだけの任務であった。
しかし、出発直前に突如として軍事帝國が太陽系に侵攻、代艦引継ぎ任務から一転して、リゲル艦隊と協働して軍事帝國艦隊を挟撃する任務へと変更された。

地球赴任中のマイヤー艦隊
星系内を通過中のため速度を下げており、超光速巡航は行っていない
既にベイツ艦隊(戦艦II型4隻)と合流していることからシャローハイム星系あたりと思われる


だがその作戦は、アルタイル分艦隊が地球到達寸前で、地球駐留艦隊の旗艦リゲルが沈没したため不可能となった。
脱出した先任コマンダー3名も軍事帝國の攻撃で戦死したため、現場最先任のマイヤーは暫定コマンダーとして就任した。 このような不完全な指揮系統の中、さらに現有戦力はアルタイル分艦隊と残存艦艇のみという状況で、3倍に相当する軍事帝國艦隊を撃破、太陽系と地球を奪還することに成功した。
この際、アルタイルそのものを囮として突出させたり、重力影響の強い大気圏ギリギリまで航宙機母艦を曝す(一歩間違えば惑星に降着か艦体が歪んで戦闘艦として使えなくなる)など、航宙機母艦どころか外宇宙戦闘艦として想像を絶する運用が行われている。

※なお、艦長もしくはコマンダーは、着任にあたって艦名変更もしくは艦体色変更を行う権限が1回限りで与えられるが、マイヤー自身はあまり興味がなかったようである。
艦名は恒星名(艦長からの命名権行使の上申を認めなかった。分艦隊全艦ともマイヤーが命名している)という簡素なもの。艦体色も「ガーメント・システム」によって艦体色やインシグニア、エンブレムを自由に変更できるにもかかわらず、マイヤーは全編を通じU.G.S.F.標準色のままであった。
先述の想像を絶する運用も含めて、マイヤーにしてみればこれら艦艇は「目的完遂のためいかに役に立つか」という視点で運用されることが多かった。
これは一見すると、目的達成のために人間も道具として使い捨てるように見えるが、マイヤーの場合、任務完遂ではなく、より多くの生命の生き残らせる視点で考えており、任務達成のために手段を選ばないという視点とは異なっている。

本作戦終了後、アルタイルは損傷著しかったことと、マイヤーの査問で中央司令部から召還がかかったため、作戦終了後に援軍として到着した航宙機母艦ラクシュミ(ケストレル級)に地球駐留艦隊旗艦を移譲し、母星ガイアへと帰還した。

その後、オーバーホールを受け、オペレーション・ワンからオペレーション・ファイブまでの5つの対軍事防衛作戦にマイヤーと共に艦隊旗艦として従事した。
これら一連のオペレーション群の成功によってマイヤーが中将に昇進した。が、一方のアルタイルは、度重なる戦闘参加とマイヤーの容赦ない酷使によって艦齢以上に消耗しており、特に航宙機母艦の本領であるアウトレンジアタック機能を喪失していたことから、もはや大規模戦闘への参加は難しかったため、退役およびモスボール保存が決定した。
退役時に反応炉と推進機関の交換を含む大規模修理を行われた。その際、戦闘コンピュータGODS(Globalpositioning, Offence and Defence control System)は、マイヤーの次期座乗艦に移設され、残った艦体はラディウス星系に保管されることとなった。

※なお、周囲に「マイヤーといえば座乗艦はアルタイル」とまで言わしめた艦名は、命名に愛着を持たなかったマイヤーでさえも思うところがあったらしく、マイヤーの次期座乗艦となったアルバトロス級航宙機母艦の艦名は「アルタイルIV(※アルタイルIIとアルタイルIIIは既に使用されていたため)」と命名していた。

後年、アルタイルはオペレーション・ウォークライ時に不足する航宙機母艦を補うため、アウトレンジアタック機能を喪失したまま再就役している。
作戦中は艦隊直掩機の運用母艦として使われ、ゲイレルルの猛攻を良く受け止めた。しかし軍事帝國艦隊が迫る中、主力である航宙機母艦艦隊(Cフリート)を脱出させるための囮艦として使われ、撃沈している。(このときマイヤーはアルタイルIV座乗)
囮艦にするにあたっては、アルタイルの古参乗組員とりわけユウの反対が強かったが、マイヤーはこれを説き伏せ、囮艦として使ったといわれている。

諸元

艦名 アルタイル(アレクセイ・マイヤー大佐命名)
艦名ヒストリ:タルタロス→オーシア→シンクレア→マザーガイア→アルタイル
カテゴリ 航宙機母艦
クラス ケストレル級
艦籍 U.G.S.F.-DSS-SCV-B0327
艦番 327
艦体色 U.G.S.F.標準色(デフォルト・ガーメント)
全長 1367m(静止時) 1475m(アウトレンジ・アタック・モード時)
全幅 770m(静止時) 940m(アウトレンジ・アタック・モード時)
全高 565m(静止時) 576m(アウトレンジ・アタック・モード時)
総員 257名(地球奪還作戦時) 通常332名(艦隊旗艦時)
航宙性能 ※速力は状況に応じて大きく変わるため、24時間移動距離で算出する。
超光速航宙距離 1LY/24時間 (LYは光年・母星時間計測・外宇宙航宙時・反応炉出力を推進系に全力配分)
標準航宙距離  1.04AU/24時間(AUは天文単位・母星時間計測)
戦闘航宙距離  7500CL/24時間(CLはコズミカルリーグ AUの1万分の1 母星時間計測)
反応炉 次元断崖光化反応炉(D-hole Reactor)
稼動限界 オーバードライブ:3時間 戦闘稼動:約3800日 航行稼動:約20000日 ※全て艦内時間理論値
推進器 主機 DFD(ディアスタシオン・フィールド・ドライブ)
副機 PD(フォトン・ドライブ)
跳躍器 リアクター・オーバードライバーを使用。オーバードライバー数は主副あわせて32基。
シールド ENDシールドジェネレーター
主機 5基(艦外展開用)/シールド厚 60レイヤー
副機 11基(装甲内およびバイタルパート用)/シールド厚 36レイヤー
艦載機 S-116B(PF-GR) ジオキャリバー2パスファインダー型 搭載6機(補用1機)
S-114C(AT-GR) ジオキャリバー2アタッカー型     搭載36機(補用6機)
S-114D(SC-GR) ジオキャリバー2スキャナー型     搭載2機(補用なし)
射出器
  • EMカタパルト
    アウトリガー・カタパルトアームに内蔵されている通常型カタパルト。片舷3基両舷6基。電磁加速射出式。
    うち、R1カタパルトおよびL1カタパルトの2基は、U.G.標準規格カタパルト
    R2・R3・L2・L3カタパルトの4基は、ジオキャリバー2AT型専用カタパルト
  • QDBカタパルト
    アウトレンジ・アタックモード時のみ使用可能な特殊型カタパルト。中央1基のみ。Dフィールド加速+MQD出力ハイブリッド射出式。
    本カタパルトを使用した場合、RおよびLカタパルト全基との併用は不可能。
搭載機材
  • 司令部
    ユニット1台のみ。 ※地球奪還作戦時にはアルタイルの司令部ユニットは無稼動。
  • キャリバーシース(特殊作戦用ジオキャリバー用オプション外装)
    シースAからシースEまで、戦闘モードに応じ最大24台まで任意搭載
    ※地球奪還作戦時にはアルタイルには3台しか搭載していない。
  • ヴィークル(対航宙機防御用・艦外白兵戦闘用装備) 最大16台
    SV-P/T6 ファランクス(ピースキーパー級トライレッグVI型)
    LV-A/A2 ハイドラ(アンドロメダ級アサルトII型)
    ※地球奪還作戦時にはアルタイルには搭載していない。
  • 他、近接迎撃兵器システム
    迎撃ミサイルシステム
    ビームドマイン・ジェネレーター
    ガードスクリーン・ジェネレーター等々多数装備
簡易三面図

基幹メンバー・乗組員の構成

艦は大半が自動化されており、1400mもある大型艦にしては乗組員は少ない。

司令部 … 3名

旗艦機能を持つ主力艦に装備される司令部ユニットに搭乗し、三者合議体(トリプルコマンダー制)により、中央司令部の立案したオペレーションや戦略目標に応じたタスクの立案、艦隊指揮を担当する機関。
U.G.母星であるコスモ・ラグーン系第4惑星ガイアにある中央司令部と、Task and Operation Procedure Integrated Control System(T.O.P.I.C.S.)を介してリンクしている。
タスク実行中の全権でもあるため、重要案件や艦長、基幹メンバーからの上申は、トリプルコマンダーのうち2名以上の許可が必要となる。
情報伝達および処理には航宙機パイロットと同様、コフィンシステムを使用する。額にP.L.U.G.(Pilot to machine x-Link Universal Gear)、胸には双翼金冠章を付けているのが特徴である。
判断に私情をはさまないために、着任した瞬間から司令部ユニットに入り、原則としてタスク終了まで乗組員との接触はない。
LoLでは司令部、マイヤー、ベイツらも含め「中央出身」と呼ばれさげすまれているが、血統や学歴でなるものではなく、最低3年の軍務経験、かつ軍務期間中にレベルA以上の軍功を持ち、上官からの推薦、さらに母星ガイアの中央士官学校「アカデミア」卒といった多くの条件をクリアしないと司令部勤務になることはできない。
なお、劇中ベイツが胸につけているのが双翼金冠章である。今回の地球奪還作戦に先立ち、ベイツは別方面で司令部の1人としてタスクを実行中だったが急遽解任されマイヤーの分艦隊に合流、シリウス艦長として編入された。そのため双翼金冠章は中央司令部に返納されることなくそのまま付けている。
マイヤーに劣等感を抱く彼にとって双翼金冠章が唯一誇れるプライドでもあったと思われる。

司令部(コマンダー)

図はアレクセイ・マクシミリアン・マイヤー。 艦内勤務時に使用する第三種軍装を着装している。軍装の赤縁はコマンダーを示している。 本来はこれに双翼金冠章を装着する。

艦長 … 1名

担当している艦全体の指揮をとるメンバー。
基幹メンバーとは異なり、非固定メンバーである。特定の艦に長期在任がないわけでもないが、たいていはタスクのたびに任命される。たとえば新兵器開発タスク時には、技術系士官が艦長に就いたりもする。
LoLを見ると、司令部すなわちマイヤーの絶大な権限に対し、艦長の裁量権が少ないように見えるが、本来司令部は作戦のアウトラインをノルマ的に指示することが多く、その場合の実行手段立案は艦長にゆだねられるので、艦長はすなわち司令部参謀ともいえなくもない。そのため艦長の優劣がタスクの成否を決めることが多い。
マイヤーとベイツは、当初はそれぞれアルタイル、シリウスの艦長として任命されていた。後にマイヤーは艦長でありながら司令部を兼任するが、これは司令部の喪失、リゲル艦長の戦死にともない、残る最上位最先任かつ司令部資格を持つマイヤーをコマンダーとしたためである。ベイツも司令部資格を持つが、ダブルコマンダーは決定が分裂してしまう可能性が高いためU.G.S.F.軍規において禁止されており、マイヤーのみのシングルコマンダーとなっている。なおマイヤー自身は司令部として機能したのはこれが初となる。
今回の事例は、U.G.S.F.軍規にある司令部継承規約「司令部喪失の場合、平時なれば中央司令部からの派遣を待ち、戦時なれば最上位最先任且つ司令部資格保有者1名乃至3名が就き、新司令部の派遣まで戦力を保持すべし」を援用したものである。
地球奪還作戦を単独で行っているのは、マイヤーがこの軍規の類推解釈(「戦力を保持しろ」であって「待機しろ」「攻撃するな」とはいっていない)した結果を基としている。

艦長

図はアラン・クロード・ベイツ。 マイヤーと同じ第三種軍装。コマンダーと艦長での軍装の差異は縁取りが赤色ではなく黄色である点だけである。なお黄色は主力艦艦長を示している。 本来は双翼金冠章は着装しない。

基幹メンバー … 5名ないしは6名

副長待遇の責任者。艦を動かすのに最低限必要なメンバーでもある。
艦は量産品だが、小さくても700m、大きいものだと1500mを優に超える巨大な外宇宙戦闘艦は、個艦ごとのクセも強いため、それらを吸収するためクセを知り尽くしたメンバーを半固定的に就けている。
基幹メンバーは、戦闘長・衛生長・機関長・推進長・情報長の5人で、さらに航宙機母艦の場合は、これに編隊長を含み6人となる。情報長、編隊長は海棲哺乳類が行うことが多い。
アルタイルの場合は、もともと赴任中で移動が行える程度の人員しかいなかったため、人員不足は深刻で、戦闘長・衛生長・編隊長はイリーナ1人で兼任している。(科長に権限を多少分散させている)
これはかなりの規格外で、司令部兼艦長のマイヤーも戦闘長の一部を兼任せざるをえない事態となっている。

基幹メンバー(情報長)

図はイリーナ・スターレンス。 着装しているのは女性下士官~尉官用第三種軍装。 軍装の青縁は情報科を示している。

科長 … 8名ないしは9名

基幹メンバーの下にそれぞれ、戦闘科、参謀科、航法科、主計科、整備科、機関科、推進科、情報科、がおかれる。
さらに航宙機母艦の場合には航宙機科がある。
おのおの戦闘長→戦闘科、衛生長→参謀科・航法科・主計科、機関長→整備科・機関科、推進長→推進科、情報長→情報科、編隊長→航宙機科となっている。
これらには科長がおかれ、その下に科員が配属されるシステムとなっている。
科長は現場責任者であり、担当セクションに配備される。艦橋に常駐する基幹メンバーとはこの点で異なる。
リゲルではスコットが航宙機科長であり、スコットの戦死後、ユウがアルタイルでの航宙機科長となっている。
また、カート・シールズは整備科長である。

科長(航宙機科長)

図はユウ・サイトウ。 着装しているのは航宙機科用の第三種軍装。下図の整備科、機関科、推進科用の第三種軍装と比べて簡素なつくりとなっている ジャケットの水色が航宙機科を示している。
科長(整備科長)

図はカート・シールズ。 着装しているのは整備科、機関科、推進科用の第三種軍装。上図の航宙機科用の第三種軍装と比べ、パッチポケットが各所にあるなど装備品の多い部署に合わせたつくりとなっている ジャケットのオレンジ色が整備科を示している。

科長以下の乗組員 … 100名から300名程度

乗組員の大半がこれに当たる。なお科の下に班があり、保有スキルに応じて科員、班員に配属される。
外宇宙航行艦の乗組員は主技能の他に、最低2つの副技能を持つことが義務とされ、損失に応じて入れ替えができるようになっている。
劇中では気弱なリベロも、着任時点で主技能が航宙機科(パイロット)、副技能に主計科(烹炊)、戦闘科(砲術)のスキルを持っている。
戦死したスコットにいたっては主技能の航宙機科(パイロット)以外に、副技能として規定点ぎりぎりながら9科の全スキルを持っていた。
イリーナも主技能の参謀科と、副技能は主計科(医療・烹炊)除く全スキル満点という才媛である。
一方でスコット、イリーナと同期のユウは、主技能に航宙機科(パイロット)、副技能に戦闘科(ヴィークル)、航法科(操艦)の
スキルしか持っていない。
なお、マイヤーとベイツはアカデミア卒のため、司令部勤務に必要な基本4科(戦闘科、参謀科、航法科、情報科)のみ修めている。履修スキルは両者で異なるが、当然全て満点である。
なお、例外的な乗組員として、司令部直属(司令部がない場合は衛生長直属)の公安室と、艦長直属の特務室(非常設)がある。

乗組員(海棲哺乳類乗組員)

図はリック(M兵器第II類12933番)。 着装しているのは海棲哺乳類用軍装。海棲哺乳類乗組員のみ種別の分類はなく、この軍装のみをTPOに合わせて色を変更して運用している。
乗組員(人類乗組員)

図はリベロ・トーン。 着装しているのは航宙機科用の第三種軍装。ユウの砕けた着装ではわからないが、これが本来の着装姿である。 ジャケットの水色が航宙機科を示している。なお科長と科員を区別する装備品はない。

軍属民間人 … 標準艦で10名程度

特殊艦の場合100名を超えるときもある。たいていがゼネラルリソース、もしくはニューコムからの出向社員で、通常タスクでは技術系サポートエンジニアとして、新兵器開発タスクもしくは評価試験タスクでは開発員として搭乗する。
特に新兵器開発タスク時は軍属民間人扱いではなく特務室が設置され、その中に組み込まれることが多い。
出向社員は条件付で家族の同乗が許される。これは外宇宙艦隊勤務は地上勤務とは異なる時間を生きるための温情措置である。
また、U.G.S.F.では、艦内での恋愛および結婚は自由(もともとそれが考慮された配置となっている)のため、出産等によって乗組員が増加した場合、一時的に軍属となる。

軍属民間人(女性)

図はアイルヤ。 着装しているのは艦内常備の平服である。アイルヤが体全体を包まれる服になれていないためオーバーニーソックスを着用しているが、本来艦内勤務規定では休暇期間等でない限り、女性下半身は簡易宇宙服機能を持つタイツが着用義務となっている。 平服にもかかわらず、ごついブーツを着用しているのは、ブーツ自身がDフィールド(重力フィールド)の発生子機だからである。

艦載機

第一世代型の航宙機母艦の艦載機は、一小隊をジオキャリバー2PF型1機、AT型6機の計7機で編成する。

ジオキャリバー2(PF型)
リックが搭乗した機体がこれである
ジオキャリバー2(AT型)
ユウやリベロが搭乗した機体はこれである


この編成でかつ編隊長とパイロット能力が基本能力値に準じ、PF型のデータリンク・サポートがあれば「瞬間最大攻撃力(M.I.A.P.と呼ばれる。Maximum Instantaneous Attack Power)」は、AT型1機で護衛艦1隻分に相当する。

第一世代型の航宙機母艦には7小隊分の人員が配備される。
3小隊を1攻撃集団(Attck Group)と呼ばれる中隊規模とし、これが出撃1回分となる。これを2交代制で行うのが基本的な攻撃法である。 残る1小隊は完全に予備戦力で、小隊に損失が出た場合に補充で入ることになる。予備戦力のメンバーは、従来は別兵科に従事していることが多く、副技能として航宙機科スキルを持つメンバーが多い。

2グループ6小隊(42機)を出動させるといわゆる「全力出撃」となる。
全力出撃の攻撃力はすさまじいが、継戦能力が著しく落ちるためアウトレンジ・アタック・モード以外で使われることはない。
リゲルは僻地の太陽系駐留艦隊であり、アルタイルは赴任移動中、とそれぞれの事情でジオキャリバー2の搭載量が少なく、この半分しか配備されていない。

航宙機母艦戦闘モード

航宙機母艦による艦載機戦闘モードは、以下の3モードとなる。

アウトレンジ・アタック・モード

まずは航宙機母艦の真髄であるアウトレンジ・アタック・モードである。
これは、航宙機母艦を「スーパーラウンチ・フォーム」に変形させて、クェーサー・ドライブ・ブースト・カタパルト(QDBカタパルト 別名:カタパルト・ガーデン)を展開、艦全体をカタパルト、PF型のマイクロクェーサードライブを補助出力として使用することにより、初速0.5L(光速の半分)もの速度で射出し、敵艦隊に高速強襲をかける戦闘モードである。

スーパーラウンチ・フォーム前方俯瞰図
両舷アウトリガー・カタパルトアームに囲まれた空間が
QDBカタパルトと呼ばれるフォースフィールド・カタパルトである
スーパーラウンチ・フォーム後方俯瞰図
航宙機母艦全体を空間繋止して射出するという、いうなれば
「航宙機を砲弾、航宙機母艦を砲台としたカタパルト」である


この方法で全力出撃6小隊42機(PF型6機+AT型36機)を同時射出し、ほぼ1AU(10000CL)もの長距離を超えて高速奇襲を行うものである。瞬間最大攻撃力(M.I.A.P.)は、実に護衛艦の36隻分という航宙機母艦が行えるものとしては最強の戦術である。 なお、AT型にシースA、シースC、シースDを搭載して行われる場合も有り、その場合はさらに瞬間最大攻撃力を向上させることが可能となっている。 ※アルタイルはジオキャリバー2の配備数が全力出撃可能な定数を満たせていないため、劇中では行っていない。

アウトレンジ・アタック・モードは、運用開始当初は問題が多く、強力な攻撃法ながら多用されることはなかった。
特に最大の問題はQDBカタパルトの射出準備シーケンスの長さにあった。これには約24時間もかかった。
さらなる問題として、射出準備シーケンス中は艦が動けない、射出エネルギーチャージ中はENDシールドが展開不可能、射出後のルート検索や敵艦隊突入方法等を決定にはPF型パイロットの能力に依存しがち、といった点もあった。

射出準備シーケンス中は動けないという問題点は如何ともしがたく、事前に別部隊で陽動してもらうことで自艦の発見を遅らせたり、わずかな艦隊で隠密裏で行動することが欠かせなかった。
この間に発見されると、その巨艦ゆえに良い的となり、運用当初はこれにより失われた艦も少なくはなかった。

後方サブアンカー
射出時にアウトリガー・カタパルトアーム・ブロックにかかる反動を受け止める
艦の急制動を行う際にも使用される
下部メインアンカー
アウトレンジアタック射出時に、PF型が行うMQD噴射で艦が引っ張られないように空間繋止するアンカー
側部メインアンカー
下部メインアンカーと同機能
計3基のメインアンカーで空間繋止しないとPF型6機のMQD最大噴射を受け止められない


後にニコラス・ヴァン・ダイク大佐により、射出準備シーケンスの大半を占めている変形シーケンスの高速化が考案されて一気に射出準備時間が8時間まで短縮された。
さらにアラン・ベイツ少将がオペレーション・ファイアヴォルテックス時に、エネルギーチャージシーケンスを短縮化させる方法を開発し6時間まで短縮、続いてオペレーション・ウォークライ時にアレクセイ・マイヤー中将が4時間強の最短記録を樹立し、本戦術の運用を一気に改善した。

近距離攻撃戦モード

2つ目は、近距離攻撃戦モードである。
まずPF型は自発機動で発進、そのあと6基のEMカタパルトからAT型6機を射出、空間上でPF型とトラクタービームでリンクして戦場に急行し、対艦攻撃、対航宙機攻撃を行う戦術である。

EMカタパルトの射出速度はQDBカタパルトに比べるとはるかに低く、この戦術を用いた場合は、航宙機母艦の近傍の戦場に限られる。敵に対抗宙機戦力がいない場合は、これでも充分な攻撃力を持つが、対抗宙機戦力がある場合には低速射出であるため迎撃準備をとられてしまうことがあり、いたずらにパイロットを損耗してしまう危険性もある。

AT型専用着艦装置・着艦デッキ
近距離攻撃戦モードでは特に修理・補給の迅速性重視のため、着艦機能は特殊なものが付いている
AT型は減速せずに母艦傍を通過するだけで、トラクタービームが引っ掛けて回収する仕組みになっている
PF型専用着艦装置・着艦デッキ
PF型専用着艦装置である。こちらもゲート直前でトラクタービームによる急減速がかかる仕組みとなっている
減速終了後ゲート内に収納され補給を受けるが、ゲートの先は発進口で、すぐに再発艦出来るようになっている


したがって、PF型の役割は、突撃ブースター、立体機動予測データの解析ターミナル機、ダメージ機の回収である。
AT型は、U.G.S.F.の過去の航宙機と同様、瞬発的な攻撃力を有する一方、継戦能力が低いため、回収機となるPF型の存在は欠かせない。

"Link of Life"で行っている航宙機戦闘はほとんどがこれである。

防衛戦モード

3つめが防衛戦モードである。
PF型を攻撃予測機、シースBを搭載したAT型を機動砲台、シースEを搭載したAT型を機動シールドとして使用し、航宙機母艦の周囲を遊弋しつつ艦隊防衛および近接砲戦を行う。

この場合、エネルギーはスターライン技術を用いたリンケージによって供給されるため、通常のPF型、AT型の性能を凌駕する性能を発揮する。

アルタイルにはシースB、Eともに規定数搭載されていないこともあり、防衛戦モード実行ができない状態にある。

特殊型航宙機母艦・その他航宙機母艦のバリエーション

標準艦として作られる航宙機母艦以外にも、開発や試験目的で作られた航宙機母艦「特殊艦(Special Ship)型航宙機母艦」がある。キングフィッシャー級(クーカバラ級・クーカバラ改級)・グース級がそれである。

さらに小型の航宙機母艦として「護衛航宙機母艦(Escort Spacecraft Carrier Vehicle)」のマーティン級・スワロー級があり、第一世代型航宙機母艦の後継艦として、量産型ドラグーンである「ドラグーンIDS」を搭載機とした第二世代型航宙機母艦グリーンシャンク級・レッドシャンク級が存在する。

キングフィッシャー級母艦設計専用試験艦

キングフィッシャー級は、航宙機母艦設計用の実験・試験艦である。キングフィッシャー1から6まで6隻のみが存在する。
航宙機母艦の各ブロックや新型パーツはすべて、量産、搭載される前にキングフィッシャー級で運用テストされる。テストの結果、要求性能が確認された場合に限り、その部品の設計図がU.G.全星系に回される。後述のグース級が武装・航宙機の試験を担当するため、キングフィッシャー級で試験されるものは航行や艦体構造にかかわるパーツが多い。

各試験パーツは、量産を想定したワンオフパーツである。性能は標準艦に毛が生えた程度だが、艦艇に使われるような巨大なワンオフパーツは非常に高価で、艦のベースフレームに至るまですべてワンオフパーツで構成されたキングフィッシャー級は、標準艦とは比較にならないほどの高コスト(標準艦の10倍程度の建造費がかかっている)の艦艇であった。そのため特に宇宙港での扱いに苦労し、整備での丁重な扱いはまだしも、帰港・出港に至っては豪華客船並みに厳かだったといわれる。
キングフィッシャー級に相当する6隻は最初はすべて同形状であったが、試験用パーツ搭載後も経年耐久試験のため、多くのブロックは残されたままとなっていたため、艦齢を重ねるに釣れ、艦の外形が変わってしまっている。そのため6隻全部外観が異なっている

実験・試験艦という性格上、カタパルト射出時の艦体剛性計測を行うため、最低限の航宙機運用能力は持っているが、逆にそれ以外の能力、たとえば近接防御・戦闘機能などは一切持っておらず、そのままでは実戦に使えない艦である。
ただ、後年U.G.S.F.がオペレーション・ファイアヴォルテックスの頓挫で航宙機母艦の定数不足に陥った際には、キングフィッシャー級6隻全部が実戦向け改修を受け、「クーカバラ級」として実戦に参加している。 ※この時点までのキングフィッシャー級は前期型といわれる。

しかし、クーカバラ級に改装されたことで、実験・試験艦が全数なくなってしまった。そのため、航宙機母艦I型サンドパイパー級とアルバトロス級の開発が中断してしまった。 後にオペレーション・ウォークライが成功し、艦隊再編が行われた時点で、代艦として再度キングフィッシャー級6隻が造られ、定数を回復している。 ※この時点で作られたキングフィッシャー級は後期型といわれる

その後は、再び試験艦として航宙機母艦II型の設計、開発に使用された。
後期型のキングフィッシャー級は、LoLで遭遇した神聖宗教国が残していった「神聖主神力船(※エヴォーン・クロンティエの2隻 メカニックス神聖主神力船を参照)」の残骸を調査して作られた推進器、DDD(ダイレクト・ディアスタシオン・ドライブ)の実用化試験に用いられた。

この頃のU.G.のDDDの信用性はまだ低く、度重なる暴走と故障続きでまともに使えなかった。実用に成功すれば神聖宗教国・封建王朝国と同様の高速性能を手に入れられるが、いかんせんMQD(マイクロ・クェーサー・ドライブ)以上に扱いの難しい推進器であり、U.G.S.F.も半ば見捨てていた技術であった。
キングフィッシャー級を運用していた整備部は、これを引き取り、現場レベルでの改修と調整を行い、実用レベルまで信頼性を向上させることに成功した。DDDを実用レベル化させたのはキングフィッシャー級の貢献が大きい。

航宙機母艦II型が就役すると、実用化されたDDDを搭載したままキングフィッシャー級は全艦「クーカバラ改級」へと改装された。航宙機母艦I型系統で実用DDDを搭載したのは、この「クーカバラ改級」のみである。

グース級航宙機実戦試験艦

グース級は、航宙機開発用の実戦試験艦である。代艦は何度も行われたが基本的に1隻しかない。
「ニューコム社製・ゼネラルリソース社製航宙機のどちらかのみを運用」と限定している標準艦と異なり、これ1隻で開発会社の違いのみならず、ソード・スタイル、ガンナードーム・スタイル、フレーム・スタイル、ヴァリアブル・スタイルといった航宙機カテゴリも問わずに運用できる艦となっている。

グース級もキングフィッシャー級と同様、カタパルト以外は完全なワンオフ艦である。分類上は航宙機母艦だが、むしろSAT艦(ドラグーン運用を行う特殊部隊が使う母艦 メカニックス戦艦II型「SAT用特務戦艦」の項参照)に近い。
初代グース級「マザーグース」をのぞき、2代目「グースネック」以降は、UIMS複製技術兵器「キャノンシード」を外したSAT艦をベースとしている。上層部では第10番目のSAT艦として見る向きが強く「ナンバー10」などと呼ばれている。

一方でキングフィッシャー級と異なる点としては、グース級は実戦試験艦という性格から、航宙機運用能力以外に、戦艦や護衛艦比で数隻分に相当する強力な対艦・対航宙機戦闘装備が最初から組み込まれている点があげられる。
これは、実戦試験に際しては、試験目的だと戦闘能力が数値化できないので作戦艦隊に入ることができない、こういった性格からオペレーションの妨害をしないため別働かつ小艦隊で動く必要がある、といった理由からである。
しかし、この強力な戦闘力(そして新型機を少しでも実戦試験したいニューコム・ゼネラルリソース両社の思惑)から、対軍事帝國主要オペレーションには必ずといっていいほど戦力外戦力として参加していた。

グース級の機能的特徴は、航宙機開発ブロックにある。
開発ブロックは、もともとグース級が持っている装甲内展開ENDシールド(128レイヤー)で強固に守られているだけではなく、艦が行動不能となってもブロックごとワープドライブで戦場後方に離脱する「ストロングホールド・システム」を搭載している。これにより軍事帝國への機密の漏洩や、開発機体・機材の損失がないようにしている。
グース級は生残が稀有なほど被攻撃率・撃沈率の高い艦であったが、航宙機開発ブロックだけはこのストロングホールド・システムによって一度も損失することもなく次代艦へと引き継がれている。

あまりに長い運用期間であったため、The New Space Order War末期には、艦の至る所が補修パーツだらけで、SAT艦譲りの勇壮美麗なトライデント型艦型は見るも無残な状態となっていた。
U.G.S.F.の革命的航宙機は、その大半がこの艦で開発されているが、少数行動のためその実態を知らない一般兵卒も多く、常にどこかの戦場をうろうろと巡業しては破損してくるだけの「ドサ回り艦」として物笑いの種になることが多かった。外観に負けず、内部も粗大ゴミ置き場と変わらない様相を呈していたという逸話がある。

なお、最終代(18代)グース級は「アイギース」である。

マーティン級護衛航宙機母艦・スワロー級護衛航宙機母艦

マーティン級・スワロー級は、航宙機母艦のサポート用として建造された小型航宙機母艦である。

マーティン級護衛航宙機母艦 スワロー級護衛航宙機母艦


航宙機母艦は、実際に運用してみると、その最大の特徴でもあるアウトレンジアタック・モードが非常に打撃力に優れる反面、準備シーケンス中がほとんど丸裸であり、この隙を狙われて撃沈することが多かった。後年、様々な改良が行われてこのシーケンスは短時間化されていくが、結局ゼロにすることは出来なかった。
さらにもうひとつの問題が搭載航宙機の運用パターンである。特にアウトレンジアタック・モードの使用するパターンは、総出撃回数のほんの数回で、それ以外の大半のソーティーは、艦隊直掩や艦隊近傍で行われる近距離戦という事実があった。

航宙機母艦は建造に高いコストがかかることと、先述の準備シーケンス中を狙われると艦載機まるごと損失という痛手をこうむるため、必然、運用に際しては慎重になることが多かった。
LoLでは、マイヤーの卓越した指揮で艦載機は全滅寸前、艦も士気維持のため最前線に突出して運用しているが、こういった運用はまれで、ほとんどの場合、はるか後方で艦隊指揮をとるだけの司令艦として使われることが多かった。
それでも旗艦かつ司令機能を有し、航宙機も搭載と、軍事帝國を惹きつけるだけの魅力に富んだ航宙機母艦は、戦場でも第一攻撃目標となることが多く、その脆弱な装甲と合わせて、かなりの数が沈められた。

U.G.S.F.にしてみても、軍事帝國艦隊への切り札となる航宙機母艦は、艦隊に同行させないわけにも行かず、結果、多くの航宙機母艦が出撃し、そして沈められた。
The New Space Order War 100年目にして、とうとう航宙機母艦はその建艦数よりも撃破・修理数が上回り、実数の不足が叫ばれるようになった。現場コマンダーから中央司令部に対し、増産の要請がしばしば行われるようになったのである。

そして破綻は訪れた。
第二次軍事帝國領星系大規模侵攻作戦、すなわちオペレーション・ファイアヴォルテックスが発令、実行されると、各星系の前衛艦隊より航宙機母艦が召集され、一部星系には無配備となる事態となった。
さらに悪いことが重なった。オペレーション・ファイアヴォルテックスが軍事帝國の計略で頓挫したのである。大量の作戦参加艦艇は、侵攻先で孤立し、U.G.領星系付近は手薄な状態となっていた。

これに対し、アレクセイ・マイヤー中将が個人立案の救出作戦オペレーション・ウォークライを企図、これに同意する参加艦艇を集め始めた。
この際、航宙機母艦の不足が顕著だったが、マイヤー中将が大量の航宙機母艦を私費で建造した。
この際造られたのが、型落ちで廃艦予定であった護衛艦I型に航宙機母艦のアウトリガー・カタパルトアーム・ブロック1基を組み合わせた「航宙機輸送船」であった。
※「航宙機輸送船」となっているのは、U.G.の連邦航宙法で、私軍戦闘艦は、外宇宙航行「艦」を造ってはいけない規定となっているからである。
マイヤーは航宙機輸送「船」すなわち民間船とすることで、外宇宙航行可能な船舶を用意した。なお光子魚雷発射管は「自衛兵器類」として、カタパルトは「搬送機器・クレーン類」として申請することでクリアしている。
用意された航宙機輸送船は17隻。この設計・建造はすべてマイヤーの私費で賄われた。
かかった総額は4000万ハイニクスに及び、これを支払うに当たりマイヤーは自己の所有する資産をすべて売却、不足分は借金をしており、その支払いはマイヤーが死ぬまで完済できないほどであった。(なおマイヤー没後、マイヤーのためだけに作られた軍功労者特設慰労金によって完済)

こうして造られた航宙機輸送船は、オペレーション・ウォークライで、参加17隻中生残3と生残率は低かったものの、実に彼我戦力差28対1の圧倒的な不利の中、打撃主力である航宙機母艦群をよく守り(参加10、損失1)、そのコストパフォーマンス、有用性が証明された。

オペレーション終了後、連邦航宙法に違反するとして、設計図と残艦はU.G.S.F.が接収、マイヤーは軍公安局に逮捕された。
U.G.S.F.は航宙機輸送船の生産権譲渡を条件にマイヤーと司法取引を行い、結果、階級剥奪無し謹慎2カ月に減刑されている。

この後、航宙機輸送船は、設計をほとんど変えることなく、「護衛航宙機母艦」と名付けられてU.G.S.F.の正規艦種として登録された。これがマーティン級(護衛航宙機母艦I型)である。
※艦種名はその主たる任務を示すものではあるが、ダブルミーニング的に護衛艦流用型である意味も含まれている。

護衛航宙機母艦は、上述のマーティン級と、その後継級であるスワロー級(護衛航宙機母艦II型)の2級が作られた。
が、上述の建造経緯の問題で、マーティン級の運用機はゼネラルリソース社製ジオキャリバー2のみ、スワロー級は本級のみでニューコム・ゼネラルリソース両社のジオキャリバー2が運用可能という風変わりな特徴を持っている。

マーティン級カタパルトブロック図
上は護衛艦I型、下はソードオフされた航宙機母艦I型のカタパルトを装備している
下部のカタパルトは無理矢理装着した感が強く、格納庫ブロックも露出していた
マーティン級艦全体図
マイヤーの「航宙機輸送船」もマーティン級と同じ姿であった
これはマイヤーが艦設計の素人であったという話ではなく、オペレーション・ウォークライがいかに航宙機母艦を迅速に調達する必要があったかというのを如実に物語っている


搭載機数の大幅な減少、アウトレンジアタック・モードがない、という欠点を持ちつつも、なにより原型艦「護衛艦」譲りの低コスト、航宙機母艦にはない対艦装備、搭載航宙機による強力な艦隊直掩機能と、パフォーマンスに優れた航宙機母艦であった。
艦隊・船団随伴運用が多かったが、小回りが効くことからU.G.S.F.では稀有な単艦種編成で作戦に投入されたこともある。

またカタパルトアーム増設にもかかわらず、機動性能は低下したが操艦特性は素直であった(護衛艦の方がピーキー)。
護衛航宙機母艦の艦長は、航宙機母艦経験者が充てられることが多かったが、この機動性能が航宙機母艦と似ていたため、艦種転換に際しても混乱がみられず、素直な特性と相まって人気はたかかった。
後継級のスワロー級は出力が増加した半面、護衛艦特有のピーキーさが顔を出し、デチューン版が要求されるほどであった。

スワロー級カタパルトブロック図
マーティン級と同じ図。装甲板に覆われスマートな形状である
だが意外にもマーティン級ほどの人気は得られなかった
理由として全装甲化で格納庫ブロック換装がしにくくなったこと
また重量増対応で推進器の出力を挙げた結果、ピーキーで扱いにくくなってしまったことが挙げられる
スワロー級艦全体図
スワロー級は、当初はマーティン級ほど期待にはこたえられなかったが、相当な回数で改修が行われ、推進器のデチューン版であるフライトVIを越えるところあたりから、それまでの不評を覆す性能を確保するに至った


たった2級しか無いにもかかわらず、両級とも護衛艦同様あらゆる戦場で艦隊を支え、大戦終結まで運用され続けた傑作艦であった。

レッドシャンク級・グリーンシャンク級第二世代型航宙機母艦

レッドシャンク級・グリーンシャンク級は、第一世代型航宙機母艦の後継艦となる第二世代型の航宙機母艦である。

護衛航宙機母艦I型マーティン級の登場により、航宙機母艦I型とハイ・ローミックス構成を確立したU.G.S.F.は、続く第二世代型航宙機母艦を含め、ハイ・ミドル・ローのトリプルミックスを企図した。
これは、艦隊における航宙機母艦の役割が、以下3種があると気づいたからである。

  1. 艦隊直掩・迎撃のように、艦隊近傍で即応する必要性のある場合(迅速対応優先・ロー部分)
  2. 艦隊射程圏内で航宙機による撹乱・攻撃を行う場合(出撃機数優先・ミドル部分)
  3. 艦隊射程圏外で航宙機による強襲を行う場合(攻撃力優先・ハイ部分)

護衛航宙機母艦が登場するにおよび、1.に相当するものが航宙機母艦の主任務から外れたものの、攻勢において大きなウェイトを占める2.と3.に関しては、依然として航宙機母艦の役割であった。

そこで、3.を分離した航宙機母艦を作ることとした。航宙機母艦I型最終級であるサンドパイパー級とアルバトロス級である。
両級の特徴は、搭載機が「ジオキャリバー2」から、「ジオセイバー」へと換装された点である。また従来NuとGRの2種に分かれていたジオキャリバー2がジオセイバー1種に統合されるにおよび、両級ともジオセイバーのみの搭載となり、級名は異なるがもはや生産会社の違いというレベルの話となっている。

サンドパイパー級とアルバトロス級の登場により、3.の部分が担保されたように思われたが、この頃には軍事帝國の航宙機であるゲイレルルに最強型といわれたT型が登場、アウトレンジアタックで強襲したジオセイバーに対して迎撃機として使用され、かつ互角という状況に追い込まれた。

U.G.S.F.は、防御方向の限られるソードスタイル型航宙機によるアウトレンジアタックは困難と判断、全周囲防御・強力な強襲兵器を持つ中型攻撃艇を作ることとした。開発主管はゼネラルリソース・ニューコムJV(ジョイント・ベンチャー)とされた。
これがSAT向け特殊攻撃艇「ドラグーンIIS」を小型・デチューン化して艦載運用を可能とした「ドラグーンIDS」である。
※ショートストーリーで登場した「ドラグーンGDS」の原型機「ドラグーンGIS」は既に退役候補のため、設計中であった「ドラグーンIIS」を量産が利くように変更された。

ドラグーンIDS
制式名 Dragoon model "I" Deep-space Spacecraft, Dual-attacker System
外宇宙運用可能な対艦・対施設用攻撃艇。原型艇はSAT用ドラグーン「ドラグーンIIS」
(制式名 Dragoon model "I" Innovation Spacecraft, Independent-destroy-operation System)
機体各所から伸びる棒状の物は、ENDシールドの発生プローブで、全周囲防御を可能としている
下に伸びた長いアームは、U.G.S.F.航宙機初となるDDD(ダイレクト・ディアスタシオン・ドライブ)


ライト・プレシーダーとレフト・トレーサー
Dual-attacker System が示すとおり、2艇1ペアで運用する攻撃艇である
両者差異はないが、右舷発射艇が先行し、それを左舷発射艇が追いかける形となることから
「ライト・プレシーダー」「レフト・トレーサー」と分けて呼ぶことが多かった
基本は並列運用だが、2艇合体で攻撃力を増強させた「デュアル・アタッカー・モード」もある
なおこの図ではレフト・トレーサーがDFC(Dフィールドキャノン)を展開している


しかしドラグーンIDSは114m(巡航時 格納時は80m程度になる)にも及ぶ巨大な機体であり、航宙機母艦I型に搭載するには大きすぎた。そこで本機を運用する専用航宙機母艦が設計された。これがレッドシャンク級・グリーンシャンク級である。
それぞれ、レッドシャンク級がゼネラルリソース社製、グリーンシャンク級がニューコム社製となっている。

通常、仕様を変更するたびに級名は変わっていくが、航宙機母艦の常として開発・生産主管会社別の級名となっている。かわりに護衛航宙機母艦と航宙機母艦II型だけ「フライト」と呼ばれるタイプナンバーで仕様の違いを分類している。

艦型は、航宙機母艦I型と同様の三胴式だが、両舷にあった「アウトリガー・カタパルトアーム・ブロック」に代わり、「サイドハル・ブロック」と呼ばれるものに進化している。
このブロックに工場・格納庫・カタパルト・各種兵器・主推進器を搭載し、1つの艦艇といってもいいレベルになっている。
サイズはこのサイドハル・ブロック1つ取っても戦艦の並みで、全長は1500mほどだが左右幅はかなり拡大されている。

また本級より、補助推進器として使用してきたPD(フォトン・ドライブ 光子推進器)を廃止、流動推進系では最新かつ最強の推進器と呼ばれたDDD(ダイレクト・ディアスタシオン・ドライブ)が搭載された。
※確かに最強というのは間違っていないが、航宙機母艦II型の搭載したDDDは、どちらかというとDFDの進化型に近く、完全なDDDとは言いがたかった。

これら新技術、新搭載機、機能満載、超大型艦という特徴から設計は難航し、数十隻に及ぶ試作艦を経てやっと完成した。また最初の標準艦であるフライトIは完成した瞬間から不良艦と言われるほど不具合が多く、フライトII、フライトIIIを経てようやく実戦に耐えうる艦となったといわれている。

ゲームでの航宙機母艦

民主連邦で、軍事LV2から生産できる。戦闘ユニット。

ジオキャリバー2による遠距離攻撃が可能で、広大な射程と極めて強力な打撃力を誇る。
反面、防御力・視界は貧弱なので敵に接近されると非常に弱い。このため、護衛艦や戦艦による護衛をつけると安心できる。
戦場の後方から攻撃を行うという特徴から、生存率が高めなので、艦隊の旗艦としても優れている。

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