神聖宗教国 太古文明の時代 The New Space Order Warにさかのぼること数千年前、銀河系にある太古文明が存在した。
この太古文明は、二重惑星を母星とし、領土として多くの惑星を従えていた。 これら圧倒的な科学力は、「ファーウス」と呼ばれる究極知識保有体であり、それ自体が高顕現E.S.P.を持つ事象制御体の存在によって支えられていた。この「ファーウス」が太古文明のいつ、どのような理由をもって発生したかは不明であるが、ただ全てを知り、全てを操る力を持っていたことだけは確かであった。 この「ファーウス」と呼ばれるものは、10のユニットに分かれて、母星である二重惑星の衛星軌道上にそれぞれ5つづつ展開させていたといわれる。両母星ではその恩恵を享受し、さらにスターラインによって二重惑星のみならず、それに属する星間国家全てに、この力が導かれ大いに発展した、と伝えられている 太古文明の滅亡 この星間国家は後に大規模な内紛をおこした。詳細は不明だが、神聖宗教国には「神罰大戦」として伝えられている。 この神罰大戦、要は恒星間内戦は、片側の第二母星の喪失、全領星の喪失、9つの「ファーウス」の喪失という甚大な被害を持って終結したと伝えられている。また、この際、残る唯一つの「ファーウス」も軌道上から地表に落下してしまった。
これら「ファーウス」の喪失の理由は、究極知識保有体であり事象制御体である「ファーウス」が、内戦においての勝利の鍵を握るものであり、おそらくは内戦に参加した勢力によって取り合いが行われた結果であろうことは容易に推測がつくが、ともかく、「ファーウス」は1ユニットだけとなってしまったのである。 これより長い間、この第一母星はその先進の科学を失い、農耕、狩猟といった人間の最も基本的な生産形態を行うにまで退化した。そして地上に落ち、アクセスすら出来なくなった「ファーウス」は名も忘れられ、単に精神的なよりどころとして崇められる存在となっていった。 聖典の発見と神聖宗教国 そんな時代が長く続き、あるとき、人民の中に「ファーウス」から不可思議な知識をえられる者が現れ始めた。彼らは「ファーウス」から得られた不可思議な情報の内、理解できるものだけを集めていき、その知識を生活に応用し始めた。度重なる成功や失敗から、彼らはそれらが古代の伝承や物語に出る力に近いことに気づいた。 しかし、その知識は周囲の者にはあまりにも理解しがたいものであり、彼らは気がふれた者として迫害された。彼らは迫害を避け、やがて同じ力を持つ者たちを集めて「ファーウス」の周辺に住むようになった。このときより、彼らは名を失った「ファーウス」を聖なる知識の源泉として太古文明語で「クラトー(元の意は原典、原点、原初、ここから「聖典」と訳す)」と呼ぶようになり、聖典のある地を彼らは「デオルタ・ハーロ(希望の光輝)」と呼んだ。 解明された聖典の力によって、彼らは惑星全土を従えた。 だが、それは武力的侵攻によるものではなかった。聖典の力を認めた多くの人民は、その力に畏怖しつつも、時に飢餓や苦難において聖典と彼らの力を求め、そして彼らもその力を惜しみなく提供した。こうしたことを永い時をかけて繰り返した結果、畏怖は崇拝へと変わって行き、聖典の元に全ての人民が集ったのである。 これが神聖宗教国の始まりと言われる。 生命船生成技術の確立
彼らは迫害されていた民から、一変して崇拝される対象へと変わった。この時より、無知であった暗黒時代から聖典の解読と応用の時代が始まったのである。彼らは、聖典を崇拝する多くの民の中から、さらに同じ能力を持つ者たちを集め、より聖典の解読を進めていった。そして古き伝説や伝承から語彙を推測し、とうとう「空飛ぶ船」の知識を得るにいたった。
しかし、それは我々地球人が、「空飛ぶ船」と聞いたときに想像する物体とは大きく異なる物であった。それは生命体であり、何よりも空ではなく宇宙を飛ぶ船であった。なんと彼らは「生きた宇宙船」を手に入れたのである。
彼らが第九聖典を欲していたのには理由が在る。第九聖典は、太古文明文字の文法や語義が記録されている想像を絶する巨大な辞書、すなわち語彙編纂であったからである。 しかし語彙編纂の第九聖典は破片であり、いまだ多くの語彙の意味が理解できぬままであった。また解読できたものも、神聖宗教国人に理解しがたい概念が多く「光ノ舟篇」の解読はひどく中途半端なものとなった。結局、理解できない部分は神秘的な儀式による誤魔化し的手段、要は「祈祷」や「いけにえ」といったもので彼らなりに補完されるようになった。
故に生成技術の未熟は如何ともしがたく、結果、生成された主神力船はなんとも中途半端なものであり、再現率も60%台と非常に低く、聖典中に示される「完全体」と呼ばれる本来の性能から著しく劣っていた。 神聖主神力船 概要 神聖宗教国の船全般に見られる白褐色~白色の船体、その主物質はほとんどが珪素ないし、鉱物によって構成されている。珪素というとどのような物質か想像がつきにくいが、地球上で言うと我々に最も身近なものは「石」である。神聖宗教国の船は、この珪素という無機物質をベースとする生命体、すなわち「無機生命体」である。
我々人類が、有機物質をベースとする生命体、すなわち「有機生命体」であり、有機成分による組織や器官を持つのと同様、生命船にも同様のものが存在する。特徴的なものを挙げるだけでも、
の各器官が存在する。以下、各器官の説明となる。 神経・エネルギー循環器官「循環経束」 生命船の神経器官は「循環経束」と呼ばれる。 通常、神経と言えば情報伝達の回路を指すが、生命船の神経は、各部位ごとに器官小脳と呼ばれる小単位の判断器官が有り、これを統括する判断器官として、船全体に対して大きな論理回路を形成しており、神経というよりもほとんど脳のそれに近い。また心源(後述)にて増幅された操者のE.S.P.やキルリアン光を諸器官にもたらす機能、すなわち循環器官をも兼ねており、人間で言えば、この器官一つで脳と神経と血管の役目を持つ。 循環経束は、モアサナイト、純粋コランダム、水晶で構成される。これらは船の主要部には導E.S.P.性・光減衰率の低いモアサナイトでできており、抹消部には純粋コランダムや水晶によってE.S.P.光が回される。判断分岐にあたる部分には、不純物構成で色の変わる純粋コランダムで構成されており、この結晶構造をE.S.P.でリアルタイムに相転移させることで、光回路として成立させている。
また、これら鉱物には蓄E.S.P.性があり、常に一定量のキルリアン光をこの循環経束中にバッファリングしておくことができる。これにより生命船が急にエネルギーを要求したとしても、操者に供給負担がかからないようになっている。こういった性質を持つため、我々人間の神経系と異なり、ループ状の経路となっている。 なお、この命令信号のうち、攻撃命令信号そのものを抹消器官で収束高密度化し、船体表面から撃ち出すのが後述のキルリアンビームである。 表皮装甲・推進組織「イル・ドークト装甲」
装甲(表皮)はジルコニアやシリコン・ナイトライドといった無機金属が積層生成された複合装甲である。
この構造から、操者のE.S.P.による構造保持限界が存在する耐重力特性以外ならば、耐爆発、耐ショック、耐閃光、耐ビーム、耐電、耐薬品、耐B.C.といったほとんど全ての状況に、この装甲だけで対抗が可能であり、そのためU.G.、軍事帝国のようなエネルギー障壁を持たない。(そもそも必要がない) これが核の直撃にも耐えるとされる「イル・ドークト(冷力)装甲」である。 また、生命船がキロメートルサイズという大きさで、かつ素材が鉱石という固い物質ということもあって非常に脆く、普通であれば生命船が動いただけでも折れてしまうので、これを防ぐためイル・ドークト装甲が生命船が瓦解しないように保護する役割も兼ねている。
さらに、イル・ドークト装甲はこれ自体が推進器でもある。
このようにイル・ドークト装甲は、技術的に非常に優れた技術である反面、E.S.P.の依存度が過剰ともいえるほど高い。 攻撃性出力器官発振光「キルリアンビーム」
全国家中、神聖宗教国のみが保持する神聖主神力船の主力兵器が「キルリアンビーム」である。 元となるキルリアン光はパイロットである操者より発せられる。これを後述のエネルギー発生器官「心源」で増幅し、循環経束を通して表皮部まで運び、表皮にある高密度収束器官で圧縮、収束し発射する。高密度収束器官は、表皮上に多数あるが、各々の出力は小さいことから、全器官から同時発射され、発射直後にイル・ドークト装甲のディアスタシオン粒子動制御によって、全てのキルリアンビームを前方方向に揃え、多条ビームとすることで威力を上げている。
また、キルリアンビームは、E.S.P.ビームの性質を濃く有することから、E.S.P.障壁を除く、ENDシールドや装甲といった三次元上のあらゆる障害を貫通させ、破壊することが可能である。
基本的に、上位次元から見た三次元上の物質は、「気体・固体」「物質・空間」といった相・種・類・質・密・性といった分類に関係なく一律に「三次元物質」であり、上位次元では意味をなさない。故にE.S.P.の顕現は、あらゆる相・種・類・質・密・性に捉われることがない。 このように書くと、イル・ドークト装甲と同様に最強の技術に聞こえるが、その認識は間違っていない。ただイル・ドークト装甲とまったく同じ理由で、その威力は全国家でも低い部類に入る。 制御組織「主脳倉」「アヴァルーン」「覆水胞」 操者が入り、生命船のコントロールを行う場所が主脳倉である。 主脳倉そのものは白く光る石室で、中央には前述のシリカ・ケトンで作られている操者の座席(ベッドに近い)がある。構成物質は、大半が石英と水晶(共にE.S.P.感応物質)で、主脳倉は操者から発せられた命令信号とE.S.P.を受け止める巨大な受信機の役目を担う。
一方の操者側は、生命船とのやり取りを行うインターフェースとして「アヴァルーン」を付けて主脳倉に入る。このアヴァルーンを介して、操者から発せられるキルリアン光を、思考に応じて論理信号に変換し、これにより生命船にE.S.P.の伝達とコマンドを出す。
アイルヤの場合は髪飾りをしていたが、必ずそうというわけではない。
こうして操者は生命船を操るが、主脳倉は無機質であり、生活環境が全く備わっていない生命船での長期間の航行は、そのままでは操者が身体的、精神的に耐えられない。
よって操者は、低い清明状態(ほぼ混迷に近い状態)にまで操者の意識レベルを落とし、生命維持組織に入って生命船を操る。
覆水胞はたんぱく質、酸素等の供給を行うことで、操者の生命を維持するほか、キチン質の特性も持ち合わせており、操者の治療や代謝の機能も持つ。また覆水胞は循環されており、代謝時の老廃物質等も排除され常に清浄な状態が保たれるようになっている。操者はこういった環境に長くさらされるため、常人よりも肌の質が高く、白い陶器のような肌を持つのが特徴である。
この覆水胞は、ひとたび戦闘でその機能が失われると、たんぱく質の成分を濃度を上げ、徐々に飴色となっていく。これは「琥珀化」と言われ、さらに時間が経過すると操者を仮死状態にし、覆水胞は硬化、結晶石化し巨大な琥珀となる。これは、操者が外界の危険に晒されるのを防ぐためである。
余談だが、神聖宗教国と交戦状態にあった封建王朝国では、この巨大な琥珀を「玉」と呼び、勝利の勲章として持ち帰る習慣があった。
封建王朝国の記録上では、全部の玉が返還されたこととなっているが、実はその中でとりわけ美しい玉のいくつかは貴族・王朝も隠し持っていた。 これらアイルヤ、慧女(ケイン)、僑仔(キュリア)の例が示す通り、琥珀化は神聖宗教国人の拡散につながることが多かった。 エネルギー発生器官「心源」 他の項の説明でたびたび出る「心源」が、生命船の中枢であり、全長1.4Kmの神聖主神力船を動かす膨大なエネルギーを発生させる器官である。正しくは、これだけで全て賄っているわけではなく、操者のE.S.P.やキルリアン光を増幅させることで発生させている。
アイルヤのE.S.P.の顕現力(三次元上に現れるE.S.P.力のこと。テレパスなどは三次元上に顕現しないため除外される)は、この時期のU.G.のE.S.P.数値に換算して約48000M.P.(Manifest Powerの略、顕現力の単位。ユウは400M.P.程度。)ある。
心源は単なるエネルギー増幅器官ではなく、これ自体が生命船の核であり、生命船と同様、わずかながら意思を持つ不完全な無機生物である。 操者は、極短い距離ならば、操者のアヴァルーンから、この心源の「次元反転」と操者の持つE.S.P.「粒子再構成」の能力を引き出して、生命船のコクピットである主脳倉か、あるいは心源そのものに向かって生体テレポートを行うことが可能である。主脳倉に向かうテレポートは生命船に搭乗する際に使用する。その意味では心源は生命船の搭乗キーと始動キーを兼ねているともいえる。 なお心源に向かうテレポートは緊急用で、操者の能力を大きく使ってしまうため余程のことがないと使われない。 この心源と呼ばれる物体は、LoLの劇中にも登場している。 ユウが「変てこで若干不気味な」「呪いの人形」と呼び、そしてアイルヤが「お守り」と言った石像のような物体、これが生命船の心源であり、アイルヤの“護石”「エヴォーン」である。 なおここでは“護石”と表現したが、これはU.G.が付けた名称であり、神聖宗教国の表現ではない。神聖宗教国では「お守り」という。オペレーション・ホワイトストリーム終結後、アイルヤからの事情聴取とその外観からこう名づけられ、神聖宗教国の分析が進んだ後もU.G.内ではこれで広く認識されたが、U.G.はこれが「正しい表現ではなかった」ことをThe New Space Order War終結後に知ることになる。 前述の通り、心源の原型は単なる石ころである。その状態でも問題なく心源として使用可能であるが、神聖宗教国ではこれを彫塑してさまざまな形にし、操者別で全て形状を変えている。 また、心源個々には全て名前がついており、それはそのまま生命船の名前となっている。
アイルヤの神聖主神力船(心源)はエヴォーン(飛天騎)、ユッタのはメーヴェ(妖精姫)、また名前のみが出ている操者ツァムとリアン(2007/4/1エイプリルフール時の公式HP上の神聖宗教文字にその名が見られる)は、それぞれツァムがフレディト(大樹剣)、リアンがティルトワ(穀物穂)と呼ばれている。
上述の通り、本来生命船と共にある操者は、たいてい心源は一つしか持たない。
生命船の喪失時や救助等によって、仮操者として一時的に2つ以上の心源を持つこともあるが、仮操者の場合、本来の力が発揮できない制約がある。
心源は生命船の起動のみならず、これ自身が生命船の技術の核であるため、本来は簡単に人に譲るものではない。操者は船外に出るときは、神聖宗教国のE.S.P.「粒子再構成」で心源の分子間距離を広げて透化させ、操者付近に滞留させておくか、逆に圧縮して操者の周りに飛ばせておいたり、身に付けたりして、なるべく気づかれないようにしておくのが本来の扱いである。 アイルヤは劇中、ユウにこれを託すが、操者に成り立てという事もあり、そこら辺の事情をよく知らずに渡していた節がある。 しかし、この行為によってアイルヤがユウのシャトルの危機を察知することができ、かつ沈みゆく神聖主神力船クロンティエから、ユウの持つ心源エヴォーンへのテレポートを可能とし、結果的にユウのみならずアイルヤ自身も助ける「お守り」となったのは皮肉な事実でもある。 その他の外部器官「旋翼」「球冠体」
おおむね外観では、前躯体と後躯体に分かれる何よりも目を引くのは、前躯体左右にある翼状の器官と、後躯体中央にあるドーム状のものである。
後躯体の上方にある赤いドームは、「球冠体」と呼ばれる。
なお、生命船に対応する操者は必ず、生命船とは異なる性別のものが選ばれる。
諸元
主神力船の生成 主神力船の生成は、まずその礎石となる「大晶石」の探索から始まる。大晶石とはすなわち心源の核にあたる単結晶珪素である。実際にはそのままの単結晶で見つかることはなく、大抵が大きな石の状態で見つかる。 大晶石はそれ自体が原始的な珪素系無機生物である。ここまで読んだ方には推測できようが、これが前述の「心源」の前身である。当然自然発生的に生まれたものではない。太古文明が生んだ「何か」であることは確かだが、詳細は不明である。単純に単結晶としての珪素ならば、U.G.でも単結晶シリコンとして生成可能だが、もちろん神聖宗教国の大晶石の様に生命体としての性質は一切持たない。 大晶石は神聖宗教国の母星で発掘され、教導会によって多数保管されている。 将来的に操者となるであろう少年少女の候補たちは、これら全ての大晶石と念話させ、そのうち意思の通じ合ったものをその者の「お守り」とする。この時点でどの種の船あるいは生体装甲の操者になるかが決定され、これらの「心源」となることが確定する。 その後、彼らは神聖宗教国の軍事組織である「聖戦騎士団」に入団させられ、操者としての訓練を積むこととなる。
その後、「お守り(心源)」はその操者候補のE.S.P.によって育成させられる。E.S.P.を受けた「お守り」は、操者との念話の通りが良くなり、知識と知恵を持ちはじめ、より一層操者との結びつきが深くなっていく。一定の期間を経て、操者がお守りから力を引き出せるようになると、周囲の岩を取り払い単結晶部を露出させ、さらにそれに彫塑が加えられ、名前が与えられる。こうして操者+お守り(心源)のペアが出来たところで、ようやく船の生成準備が整う。 生成にあたっては、軌道上の生成施設にて行う。国家指導者であり、聖戦騎士団の団長を兼ねる聖典代行者によって特定の種類の生命船の補充の命令が下ると、それに該当する操者が軌道上に呼ばれる。 軌道上で船の生成を行うのは、生成過程で重力影響を受けると船が歪んでしまい、硬質な素材で出来た船は修正が利かなくなることから、その影響を可能な限り軽くするためである。(これらの知識は当然聖典より得ている) 生成に当たっては、操者のみならず年齢5歳以上の教民が軌道上の生成施設に広く集められる。彼らの役割は生成用のE.S.P.の供与である。 生成に当たっては、まず操者に多くのE.S.P.を集める必要がある。先述の通り、操者は「お守り」を作るために自らのE.S.P.をかけて育成していくが、船の生成はこれより規模の大きい育成であり、数千人規模でのE.S.P.を必要とする。
生成は1年以上の年月をかけて行われる。毎日10時間以上の祈祷(E.S.P.供与)が行われ、操者にE.S.P.が供与される。この過程では数千人規模のE.S.P.に耐え切れず、操者が亡くなってしまう場合もある。 余談だが、この際一定の値より低い者は、時に生成の犠牲者となり、無事であっても「界外(けがい)の民」と呼ばれ、地上に戻された後、さらに教民とは選別されて住むことになる。 話を戻すと、こうしてE.S.P.を多く蓄えた操者が出来上がると、そのお守りともども核となる主脳倉に挿入される。 挿入後、第一段階として、最初に生成されるのが操者のアヴァルーンで、この時、操者のアヴァルーンが操者のどこに現れ、どんな形状かが判明する。 アヴァルーンが生成されると、第二段階として操者本人の老化遺伝子の調整が開始される。第二段階は外部からの制御によってスキップすることもできる。 さらに第三段階として、操者の内部に蓄積された膨大なE.S.P.がアヴァルーンのプログラムに沿って開放され、生命船本体の生成が行われる。
開放されたE.S.P.は近傍の惑星ないし小惑星を原料としてこれを分解、生成施設に集め、粒子を再構成し、主脳倉の周囲に船を形作っていく。 この生成過程は非常に速く、1日あればほとんど形は出来上がってしまう。 その後さらに、数日かけて内部諸器官の生成、最後に表皮部となるイル・ドークト装甲が生成されて、完了となる。 生命船の生成完了時は非常に荘厳であり、イル・ドークト装甲に初めて操者のE.S.P.が通ると、初期起動時のみ鐘のような次元振動音が鳴ると同時に、全器官、全装甲が発光し、さらに周囲のディアスタシオン粒子を励起させて光の粒子に包まれて出現する。 生成施設は軌道上にあるが、昼でも地上から星のように光って見えるほどである。
神聖主神力船 搭乗者 神聖主神力船の搭乗員は、 操者(ミュステル) … 1名(2名のときもある)
のみである。ただし、これは“人間”に限定した数字である。 操者の身分・資格 そんなこともあり主神力船の操者は、神聖宗教国では、なかば神格化された扱いを受けている。国家の要職にもこの操者がなることも多く、要職の女性率は非常に高い。
操者になるためには、所定の資格が必要となる。 LoLに登場したアイルヤは第七列「第四信位献身格」に叙列されており、本来、主神力船の操者たり得ないが、見習い的に編入されていた。なお、同LoLに名前のみ登場するユッタは、LoLの時点では第六列「第参信位敬虔格」であり、アイルヤの保護者も兼ねていた。
※聖戦騎士団は、「十六階位」と呼ばれる序列で成り立つ。これは
操者のE.S.P.能力と調整
神聖宗教国のE.S.P.は全国家中、一部能力を除き最強の力を持つが、発現時期や安定性といった点で問題を抱えている。
テレパスは最も基本的な能力で多くの民が有する一方、粒子再構成は保有者が限られた能力であり、キルリアン光に至っては、さらに限られた能力となっている。
E.S.P.能力の発現は、全国家中最も遅く、おおむね男女問わず5歳~6歳位である。 これは生命船の生体維持機構である覆水胞を用いた調整法である。当然、神聖宗教国で考えられた調整法ではなく、他同様、聖典に記録されている技術である。技術の由来・理由は解読されておらず、神聖宗教国でも「聖典に記録してあるから正しい行いである」程度の認識で使用している。 一部の老化遺伝子を調整することで行われる。なお、老化の停止は、E.S.P.機能の低下を抑制するための調整のみであって、永遠の寿命を得るわけではない。太古文明においても、この時代においても生体の不死法は全くないわけでもないが、様々な理由により実現していない。 またこの調整は、髪色も変化してしまうのが特徴である。神聖宗教国人の髪色は栗毛色を中心とした、明るい方でオレンジ寄り、暗い方で黒髪だが、調整を経ることでこれら髪色がより薄い色へとシフトするか、髪色が大きく変化する。薄い色へシフトする場合は、操者としての能力が低いことが多く、使徒船などの低能力生命船にこのタイプが多い。髪色そのものが変化する場合は、操者としての能力も高く、主神力船の操者であることが多い。
生命船の操者は女性が多いことは前述したが、その優秀な遺伝子を残すために、後に子をなす必要のあることから、年齢変動幅は15歳以上~19歳程度までで調整される。
また、神聖宗教国は軍事帝國ほどE.S.P.能力が安定していないため、これらの特徴から外れる人種も存在する。これらの特徴から外れた人種とは2種存在する。
1つは出生時よりE.S.P.能力を保有している人種である。
もう1つは、神聖宗教国人よりも強く、安定したE.S.P.を保有する人種である。
神聖宗教国において、E.S.P.能力の遺伝的な継承、すなわち婚姻は大きな意味を持つ。 アイルヤはこういう環境で育ったことで婚姻に奔放であり、かつ生来の気質が頑固でもあったため、オペレーション・ホワイトストリーム後にユウをとても困らせている。 神聖宗教国とU.G.の関係
LoL(オペレーション・ホワイトストリーム)で共同戦線を張ったU.G.と神聖宗教国だが、その後、不戦条約を結んだわけではなかったが、The New Space Order War全期間を通じ、いくつかの例外を除けば敵性国家として積極的な戦闘に及ぶことはなく、それはそのまま終結まで維持された。 オペレーション・ホワイトストリーム以降にも、オペレーションに神聖宗教国が関与した例も少ないとは言えず、特にマイヤーとユウは、後年行われた一大作戦「オペレーション・ウォークライ」にて、再び神聖宗教国に助けられることとなる。 また、国家としてのU.G.のみならず、特にニューコム社が神聖宗教国の技術に興味を持ち、オペレーション・ホワイトストリーム時に発見されたアイルヤの生命船「エヴォーン(船のみ)」、軍事帝國の砲撃によって破壊され地球圏に放棄された「クロンティエ(船と心源)」は回収され、分析が行われている。 The New Space Order War期間中、U.G.S.F.に回収された神聖宗教国の生命船の内、「船」と「心源」共に揃った例はこのクロンティエを含み、片手で足りるほどしかなかった。 またU.G.は、オペレーション・ホワイトストリーム時のアイルヤ等、遭難した操者を含む神聖宗教国人の保護も行っている。そのうちの何人かがアイルヤと同様にU.G.に残留しており、彼らから神聖宗教国の事情を聞けたことから、距離は軍事帝國よりも遠く離れていたが比較的なじみの深い国家でもあった。 U.G.に残留した神聖宗教国人はU.G.人と結婚した例が多く、彼らの子の中には、第9代A.M.P.のマクシミリアン・エラール、第12代A.M.P.のリヒャルト・テラー・ベヒシュタインなどがいるが、どれも高E.S.P.能力を保有した者が多かった。
神聖宗教国のE.S.P.を基本とした一連の技術は、E.S.P.後進国であるU.G.に大きな影響を与えた。 欄外:完全体 神聖宗教国の聖典は、10の知識保有体(十聖典)から成るが、彼らの手元にある聖典は、原型をとどめたものとしては、ただひとつの「第一聖典」と、その語彙編纂に当たる「第九聖典破片」のみであり、しかもそのうち解読できたものは第一聖典では7篇と45章のみで、まだ残り11篇211章が未解読、第九聖典破片は全篇解読済みだが、破片のため保有知識量が少なく、わずかに1篇13章のみとなっている。
第九聖典破片の解読によって語彙理解が進んだため、第一聖典の解読の質は向上しているが、それでも特定の科学技術を狙って解読することが非常に難しく、偶然に頼らざるを得ない状況にある。
特に主神力船の生成法を記す第一聖典第三章「神技乃章」第一篇第三十二節以降「光ノ舟篇」には、解読時点でいきなりThe New Space Order Warと、それ以降の核心となりうる船が載っている。
「其の船、身は石、内に魂たる者を抱きたり。
律詩を読む限りでは超絶的であるが、これは嘘ではない。
律詩の解析によって、以下の機能を持つ生命船だと推定されている。
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